CTIとは?
まずはCTIとはどういうものかについて、基礎情報を見ていきましょう。
CTIとはわかりやすく言えば電話とコンピューターの高度な連動
CTIとは “Computer Telephony Integration” の略です。直訳すれば「コンピューターと電信電話技術の統合」となります。具体的にはコンピュータシステムと電話やFAXを連携させて、交互な電話応対業務を実現するシステムです。
顧客からの問い合わせに対応する「コールセンター業務」や、見込み客(以下リード)や顧客に電話で営業系のアプローチを行う、いわゆる「コンタクトセンター業務」などに活用されています。
それらの業務においては、電話機だけではなく複数のソフトウェアやデバイスが使われています。たとえば以下のようなものです。
- オペレーターが扱うPC
- 顧客情報管理のためのCRMシステムやデータベース
- 電話の発着信・保留・転送を制御するPBX
- オペレーター業務を効率化するコールセンターシステム
CTIシステムによって、リードや顧客のリストのデータベースと電話を連携させることで、対象者のプロフィールやそれまでの対応の履歴、購入アクションの履歴などをCRMシステム上で共有しながらアプローチやサポートが展開できます。
顧客情報を確認しながらの対応は、円滑なコミュニケーションを促進します。また、潜在顧客やリード、顧客など相手をグループ分けできるので、そのグループの属性に即した対応が可能です。
そのため、無駄なやりとりやトラブルの回避につながり、オペレーターの業務効率と顧客満足度をともに高められる効果があります。
なお、CTIシステムとコールセンターシステム、そしてPBX(Private Branch Exchange:構内交換機)の3つは、コールセンター業務やオフィスの電話対応業務で活用される代表的なシステムソフトウェアです。
これらを混同してしまうケースも見られるので、ここからはその3つの違いについて解説していきましょう。
CTIシステムとコールセンターシステムの違い
そもそもコールセンターとは場所、あるいは役割を指し、顧客などに電話によって対応する「窓口」のことです。その窓口業務の運用と管理のためのシステムが、コールセンターシステムと呼ばれます。
コールセンターシステムはかかってくる(インバウンド)の電話対応だけではありません。企業からリードや顧客にかける(アウトバウンド)アプローチなどの通話記録データから、マーケティング施策を立てることも可能です。
そのため、コールセンターは幅広い用途で利用できます。それを可能にするのが、多くの場合にコールセンターシステムと一体となった形で提供されているCTIシステムです。
つまり、コールセンターの業務効率化を支援するのが、CTIという技術の役割です。なお、サービスによってはPBXの機能が装備されているケースもあります。
コールセンターの中核となったCTIシステム
CTIシステムは、今日のコールセンター業務の中核となる機能を果たします。しかし当然ながらCTIシステムのみでコールセンターは成立しません。それ以外のさまざまな機能も含めて、コールセンターシステムが形成されています。
とはいえ、CTIの登場はコールセンターの仕事風景を一変させました。それまで電話機に向き合っていたオペレーターが、PCに向きあうようになったのです。
ヘッドセット(マイクと一体型になったタイプのヘッドホン)を装着してPCに向かい、作業することになりました。他方では、顧客情報や通信データの活用によって顧客ニーズを的確に把握でき、顧客満足度を高めやすくなっています。
コールセンターシステムとCTIシステムの機能の住み分け
コールセンターシステムとCTIシステムは、機能の住み分けがなされています。コールセンターシステムにあって、CTIシステムにない主な機能は以下のとおりです。
- 顧客管理機能
- ゴール情報管理
- 検索機能
- スクリプトカウント
CTIシステムにあって、コールセンターシステムにない主な機能は以下のとおりです。
- 通話録音機能
- 着信呼自動分配:ACD(Automatic Call Distributor)
- 予測発信機能
CTIシステムとPBX(Private Branch Exchange)の違い
CTIシステムとPBXは、ともにコールセンターを形成するにあたって重要な役割を帯びています。
CTIシステムはコンピューターと電話やFAXを連携させる役割ですが、PBXは外部からの入電を、内線網を通して各電話機や回線と接続できる電話交換機としての役割を持っています。
そのため、PBXには通話記録や着信呼自動配分、自動音声応答などの機能が備わっています。
ちなみに、一般的には内線接続を行わずに電話をすると電話回線が別になるので、社内間通話でも通話料が発生します。しかしPBXを活用することで、内線同士の通話には通話料が基本的に発生しません。
PBXをCTIシステムに組み込むことで、特定の電話信号を個別の電話に振り分けつつ、コンピューターを最大限に活用した機能の追加と管理ができます。
なお、CTIシステムについて、導入すべきシーンを以下の記事『CTIシステムとは?導入すべきシーンやおすすめCTIシステムをご紹介!』でわかりやすくご紹介しています。ぜひ、そちらも参考にご覧ください。
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CTIシステムの提供形態・業務タイプ別の種類
CTIシステムは、提供形態および業務タイプ別でふさわしい種類があります。
【提供形態別】
- パッケージ型(オンプレミス型)
- クラウド型
【業務タイプ別】
- インバウンド型
- アウトバウンド型
それぞれについて説明します。
提供形態別の2種類のCTIシステム
CTIを大分類すれば、パッケージ型(オンプレミス型)とクラウド型との2種類があります。それぞれの特徴と良さがあるので、利用企業は自社の状況に合った種類を選択するのが賢明です。
パッケージ型(オンプレミス型)CTIシステム
パッケージ型(オンプレミス型)の特徴は、多くの機能を兼ね備えられることです。カスタマイズして自社独自に開発した機能を組み込めます。
ただし、イニシャルコスト(初期費用)が高額となり、加えて導入までに1ヶ月程度の時間がかかります。買い切り型なので月額費用はありませんが、保守コストはかかります。
クラウド型CTIシステム
クラウド型のCTIシステムの場合は、サーバーが不要なのでイニシャルコストが抑えられる点がメリットです。初期費用が無料のケースもあります。
サブスク型で手軽に導入できるため、発注から開始までの時間もパッケージ型より短くて済みます。ただし、カスタマイズするのには向いていません。
業務タイプ別2種類のCTIシステム
CTIシステムには業務タイプとして、インバウンド型とアウトバウンド型があります。利用企業の戦略とも関係するので、適切な方を選ぶ必要があります。
インバウンド型CTIシステム
インバウンド型は入電対応が基本であり、顧客からかかってくる問い合わせや注文の対応にあたります。着信と同時に入電元の顧客情報をポップアップしてくれます。
オペレーター業務を改善したい場合は、インバウンド型を選びましょう。
アウトバウンド型CTIシステム
アウトバウンド型は、案内の告知や電話営業などに向いています。顧客リストを基にして効率的に発信可能なので、営業力強化につながるでしょう。
ただし電話回線かIP電話や光回線かによって通話コストは異なってくるので、注意を要します。
なお、企業の電話応対業務を効率化できるおすすめCTIシステム3選を以下の記事『電話応対業務を効率化できるおすすめCTIシステム3選!そもそもCTIとはどんなシステム?』でご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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CTIシステムを活用する5つのメリット
CTIシステムを活用することにより、以下のような5つのメリットが得られます。
- 顧客満足度アップ
- 業務効率化
- リモートワーク環境の効率化
- マーケティング・営業に役立つ情報獲
- 組織再編時の利便性
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
顧客満足度アップ
あらかじめ顧客属性および過去の対応履歴を把握できるので、顧客対応のパーソナライズが可能です。また、休日や夜間に問い合わせが集中してオペレーターが対応できない状況でも、自動音声による応答機能の活用で、入電元の不満や苦情を抑えられます。
CTI導入によって顧客とのやり取りがスムーズになり、より迅速で的確な顧客対応を行えるため、顧客満足度のアップに寄与できるでしょう。
業務効率化
電話番号に紐づいて顧客情報をPCに自動表示できるため、やり取りの無駄を省いてオペレーターの業務負担を軽減できます。また、自動発信や着信の自動振り分けなどの機能によるオペレーター業務の効率化で、人件費の抑制につながるでしょう。
なかには電話の折り返し希望を確認できるタイプのCTIシステムもあり、インバウンドに加えてアウトバウンドの支援効果も期待できます。
リモートワーク環境の効率化
在宅で業務に取り組むオペレーターのPCに、CTIシステムのアプリケーションをインストールすることにより、業務用のスマートフォンや固定電話を必要としません。その分コストを抑えつつ、リモートワーク環境を効率化できます。
マーケティング・営業に役立つ情報獲得
音声記録を音声認識サービスでテキスト化(文字起こし)することで、顧客からの生の声を可視化したデータ分析が可能です。また、顧客体験の知見を営業やマーケティング、カスタマーサービスの改善などに有効活用できます。
組織再編時の利便性
一般的なビジネスフォンを利用している場合は、部署異動や組織再編の際にグループや内線番号の設定変更を業者に依頼しなければなりません。その分だけ、コストと時間を要します。
一方、CTIシステムなら、部署異動や組織再編に伴う電話の諸々も設定事項の変更も、柔軟でスピーディに対応可能です。
CTIシステムの基本機能
CTIシステムに備わっている基本機能の代表的なものは、以下のとおりです。
- IVR(自動音声応答機能)
- 着信履歴
- モニタリング機能
- 電話制御機能
- ポップアップ機能
- 通話録音機能
- その他の機能
それぞれの機能を見ていきましょう。
IVR(自動音声応答機能)
IVR(自動音声応答機能)とは、電話回線が混み合っている時や営業時間外に着信を受けた場合に、自動音声で対応する機能です。連続のコールを回避できるので、顧客のストレスを軽減できます。
また、発信者に入電の目的に沿ってダイアルボタン操作を促せるのも、IVR(自動音声応答機能)によります。
着信履歴
着信履歴とは、一般的な携帯電話に備わっている着信履歴機能と同じです。ただし、実質的に保存件数が無制限で検索や並び替えに対応できます。
モニタリング機能
モニタリング機能とは、管理者がオペレーターの対話内容や稼働状況を、モニタリングして確認できる機能です。何かのトラブルが起こった際にも、管理者から適切な指示を出すために活用できます
電話制御機能
電話制御機能とは、特定のオペレーターに電話が集中しないよう、複数の電話を均等に各オペレーターに振り分ける機能です。顧客情報も転送とセットで渡せるので、オペレーターは急に転送されても対応できます。
ポップアップ機能
ポップアップ機能とは、入電元の顧客属性や過去の対応履歴をPC画面に表示する機能です。従来は顧客情報を調べている間、入電元に待ってもらう必要がありましたが、その時間をショートカットできます。
通話録音機能
通話録音機能とは、リードや顧客とオペレーターの通話内容を音声データとして保存できる機能です。よくある「言った」「言わない」のトラブルを回避できるほか、通話データの分析によって顧客対応を改善できます。
入電元と企業側の両方の音声を録音できるため、「全通話録音機能」という別名があります。
その他の機能
その他の機能としては、主に以下のようなものが挙げられます。
- Q&A機能:よくある質問をすぐに参照できる機能
- レポート機能:対応状況や稼働状況をレポートする機能
- キューイング機能:入電の順番を管理する機能
- ACD機能:オペレーターの状況によって入電の振り分けを行う機能
- ささやき(ウィスパリング)機能:オペレーターにだけに聞こえるよう、管理者が伝達や助言をできる機能
- プレディクティブコール機能:複数回線で一斉自動発信し、オペレーターにはつながった回線だけを接続する機能
- 自動発信(オートコール)機能:架電の効率化のために、リストにある電話番号に自動発信できる機能
CTIシステム導入が活かせる業種
企業の業種や業態によって、CTIシステムの導入が業務に活かせる場合とそうでない場合があります。以下のようなタイプの業種は、CTIシステムが活かせるので、導入をおすすめできます。
- リピーターが重視される業種
- 予約制のサービス業
- 大規模コールセンター
それぞれの業種でCTIシステムがどのように役立つのか、見ていきましょう。
リピーターが重視される業種
リピーターが重視される業種では、CTIシステムの導入は有益です。現場のスタッフ全員が顧客情報をいつも把握しているのは現実的には難しいですが、CTIシステムを活用すれば、入電時にまずはお得意様か新規客かの判断が可能です。
お得意様の場合は顧客情報を瞬時に確認できるので、顧客カルテを探すなどして待たせることなく、スムーズに応対できます。顧客対応の品質向上につながるのは確実でしょう。
結果的に顧客満足度のアップに加えてブランドイメージの強化にもつながり、リピート率や定着率を高める後押しとなります。
予約制のサービス業
来店予約の受付を行う業種でも、顧客管理機能が実装されたCTIの導入は有益です。着信時に電話番号に紐づいた顧客情報の詳細が確認できれば、検索する手間が不要となって予約対応も円滑に行えます。
また、電話番号や名前の聞き損じによる、ヒューマンエラーが生む行き違いのミスの防止にも役立ちます。加えて、過去の対応履歴も同時に閲覧できるので、問い合わせにもスピーディに対応可能です。
大規模コールセンター
規模の大きなコールセンターは、CTIシステム導入によってさまざまな応対のプロセスを自動化できるため、大きなメリットが得られます。たとえば入電元の発信番号に紐づく顧客情報を自動表示できるため、検索の手間を削減でき、応対時間は短縮できます。
また、かかってきた電話をIVR(自動音声応答機能)にて適切なセクションに振れば、他のセクションへの転送や再架電の依頼などのネガティブなアクションの機会を減らせます。
CTIシステムの活用事例
CTIシステムの構築には、大規模な設備投資は不要です。複数のビジネスフォンとPC1台のデータベースシステムを連携することにより、比較的リーズナブルにCTIシステムが構築できます。
実際にCTIシステムを導入・活用した事例をいくつかご紹介しておきましょう。
保険代理業A社の場合
A社は、生命保険や損害保険を取り扱う保険代理店です。提携代理店を含めるとスタッフは1000人を超えます。A社の課題はBCP対策の準備でした。
BCPとは “Business Continuity Plan” (事業継続計画)です。災害やテロなどの不測の事態が発生した際に、事業を継続するために何をするべきなのかを、包括的にあらかじめ決めておくことを意味します。
近年では地震や台風などによって、事業継続が困難になった企業は数知れません。そのため、あらかじめ備えておく企業が増えています。
A社においても地震や台風で本社が罹災した場合を考えて、事業継続や迅速な復旧のための対策を持つことが課題でした。A社は全国に支店を持っており、支店が罹災しても迅速にサポートできる仕組みが必要だと考えたのです。
A社は損害保険を取り扱っているため、地震や台風が発生したときほど業務が増大します。そのため、CTIシステムを導入し、本社が罹災した場合には特定の支店で臨時コールセンターを立ち上げられる環境を整え、課題を解決しました。
新聞販売業の場合
B社は新聞販売業を営む、従業員50人未満の中小企業です。新聞販売業では配達業務にかかわる電話依頼が、常に多数寄せられます。「新規客獲得による配達の開始」「既存客の途中解約による配達中止」「既存客の長期不在による配達一時停止」などです。
顧客情報はとりあえずデータ化されていたものの、着信時に該当する情報を即座に探すのは難しい状況でした。ヒューマンエラーによる顧客からのクレームが絶えず、業務効率が悪い状態で停滞していたのです。
そこで、CTIシステムを導入して顧客のデータベースに連携させることで、入電時に顧客情報をポップアップ表示できる体制を実現しました。
それによって過去の対応履歴を反映したスムーズな電話対応が可能になり、結果的にヒューマンエラーの抑制や対応時間の短縮を実現しています。
金融商品仲介業の場合
C社は金融商品仲介業などを行っている、従業員500人ほどの中堅企業です。主要都市をはじめ、全国に支店を構えています。以前からCTIシステム導入を検討していたものの、電話環境の見直しを理由として先送りされていました。
CTIシステムを導入する際には、使用中のビジネスフォンを電話回線からIP電話に入れ替えることが多いです。その入れ替えコストの発生や、オフィスの内線が一旦使えなくなること、インターネット環境の整備が必要になるなど、複数の問題がありました。
結局C社は、既存の内線を維持しつつ導入できるタイプのCTIシステムを導入しました。既存の電話環境をそのまま流用できたため、コストを抑えて導入できたのです。
また、自然災害などによりインターネットに通信障害が発生した場合に、着信先を臨時でビジネスフォンに切り替えられる災害対策も実現しています。
まとめ
コールセンターシステムやBPXとの違いが分かりづらいと言われるCTIシステムについて、できるだけわかりやすく解説し、メリットや活用事例もご紹介しました。
CTIシステムが中核となり、コールセンターシステムやBPXの機能がそれぞれ役割を果たすことでコールセンターやコンタクトセンターの業務が円滑に推進されます。
電話に関する業務体制の変革を考えているみなさんは、ここでご紹介した情報を参考に、CTIシステムの導入・活用を検討してください。
コールセンターに関するサービスを探しているみなさんには、以下のページで資料ダウンロードが可能です。
CTIシステムに関するサービスを探しているみなさんには、以下のページで資料ダウンロードが可能です。
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