マーケティングの目的とは?
ではまず、マーケティングの目的とは何かについて、マーケティングの本質を確認しながら見ていきましょう。
そもそもマーケティングとは
マーケティングとはそもそも何か?マーケティングは非常に多岐にわたる領域を持つ概念です。ひとくちにマーケティング活動といっても、その内容は千差万別となります。
ここではマーケティングをできるだけ簡明に紐解き、その重要性や目的の定義、目標との違いなどについて、それぞれ見ていきましょう。
なお、「マーケティングとは何か」について、以下の記事で総合的に詳しく解説していますので、ぜひそちらも参考にご一読ください。
また、マーケティング活動を進める上で知っておくべきマーケティングモデルについては、以下の特集記事『マーケティングモデルとは?認知から購買の消費者行動を分析した仮説』で詳しくかつわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
マーケティングとは何かを日本語で簡単に言えば?
マーケティングとは何かを日本語で簡単に言えば、以下の一言になります。
【売れる仕組みづくり】
それ以上でも以下でもなく、マーケティングに紐づくあらゆる業務がそのひと言に凝縮されています。
売れる仕組みを作るために市場のリサーチや分析、顧客ターゲットの設定やプロダクトのポジショニング、戦略構築、施策の立案と実施、広告・販売促進プロモーションなどのさまざまな活動が行われます。
それらの全活動の総称こそがマーケティングです。「売れる仕組みづくり」ほど、シンプルで的確にマーケティングを表現した言葉はないかもしれません。
なお、マーケティングの過去の代表的な成功事例については、以下の特集記事『マーケティング戦略・過去の成功事例15選!視点や実践手法を解説』で取り上げて詳しく解説しています。ぜひ、参考にご一読ください。
また、日常の文化に溶け込んだマーケティングの身近な成功事例などを、以下の記事『マーケティングの身近な例を大特集!日常の文化に溶け込んだ成功事例』で詳しく特集していますので、ぜひ参考にご一読ください。
マーケティングの重要性とは
マーケティングの重要性は、たとえば欧米において経営トップになる人材はマーケター出身者が多いことが示しています。
従来の日本では、マーケティングはそこまで重視されていませんが、欧米ではマーケティングは経営の中核となるものです。今後は日本においても、マーケティングのビジネスにおける位置付けが高くなる可能性があります。
基本的にビジネスというものは、商品やサービスが購入されて売上が上がり、売上から経費や仕入れにかかった費用を差し引いて「利益」が生まれます。
マーケティングとは「効率よく」「売上」を上げるための活動なので、それはそのまま利益の最大化を意味しているといっても過言ではありません。
マーケティング=「売れる仕組み」が完璧に近づけば近づくほど、経費を抑えつつ売上が上がり、顧客は価値を獲得するのです。
なお、マーケティングマネジメントについて、そのプロセスと業界別成功例を以下の特集記事『マーケティングマネジメントとは?プロセスと業界別成功例を徹底解説』で解説しています。そちらもぜひ参考にご覧ください。
また、マーケティングにとって重要な領域である広告にとって根幹となる「USP」について、以下の記事『マーケティングにおけるUSPとは?独自の強みを活かした提案の作り方』で特集していますので、参考にご覧ください。
マーケティングの究極の目的とドラッカーの定義
いよいよ本論に入っていきます。マーケティングの究極の目的は、前項までお読みのみなさんにはおわかりのとおり「利益の最大化」です。ここでいう利益は狭義では企業の利益ですが、広義では違います。
利益は、顧客が価値と引き換えに対価を払うことで得られます。つまり企業の利益の最大化は、顧客の価値の最大化と連動しています。広義では利益は、企業と顧客双方、さらには株主と従業員のすべてにとっての利益であり価値を意味すると考えてよいでしょう。
企業は「利益の最大化」を究極の目的として、そこにつながる複数のマーケティン上の目的を設定して活動を展開します。
なお、マーケティングの数ある定義について、権威があるものを取り上げて以下の特集記事『【徹底解説】マーケティングの定義とは?ビジネスの核となる概念とその変遷』で詳しく解説していますので、参考にご一読ください。
ドラッカーによるマーケティングで最も重要なこと
経営学者ピーター・ドラッカーは、現代マネジメントの第一人者の立場から、マーケティングを以下のように定義づけました。
マーケティングの目的は顧客を知り理解することで、製品やサービスが顧客によく合って自然に売れるようにすることである。
The aim of marketing is to know and understand the customer so well the product or service fits him and sells itself.
この定義からもわかるように、マーケティングとは企業の利益ありきではなく、顧客が得る価値ありきの発想から展開します。つまり、ドラッカーによるマーケティングで最も重要なことは、プロダクトを購入する顧客を利することにあります。
ちなみに、近代マーケティングの父と呼ばれているアメリカの経営学者フィリップ・コトラーは、マーケティングを以下のひと言で定義づけています。
マーケティングとは人と社会のニーズを見極め、満たすことである。
Marketing is about identifying and meeting human and social needs.
コトラーの考え方はドラッカーと共通しています。いずれも、売り込まなくとも勝手に売れる仕組みを作って提供するのがマーケティングであるという主張です。
なお、ドラッカーの理論を交えつつ、マーケティングにおけるターゲット設定の戦略的意義を、コトラーやドラッカーの理論を交えつつ以下の記事『マーケティングにおけるターゲットとは?コトラー&ドラッカーに学ぶ戦略的意義』で解説しています。ぜひ参考にご覧ください。
マーケティングの目的と目標の違い
マーケティングの目的と混同しがちな目標とは、何が違うのでしょうか?
これは戦略と戦術の違いともシンクロしています。目的とは最終的なゴールであり、目標はそのゴールを目指す過程でクリアすべき数々のマイルストーンです。
そして、マーケティング戦略は目的達成のための大局的な作戦であり、マーケティング施策は目標達成のために戦略を戦術に落とし込んだ局地的な施策です。
マーケティングの目的を明確にすべき理由
マーケティングの目的は、必ず明確でなければなりません。その理由はいたってシンプルです。目的が明らかになっていなければ目標がぼやけるので、そのための施策の精度も低下し、結果的に目標達成などは夢のまた夢になるからです。
なお、今日のようなデジタル時代のマーケティング戦術について、戦略との違いも含め以下の特集記事『デジタル時代のマーケティング戦術とは?戦略との違いもわかりやすく解説』で取り上げています。ぜひとも、参考にしてください。
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マーケティングの目的の設定例
マーケティングの目的の、具体的な設定例をいくつかご紹介しましょう。
ブランドの認知拡大
SNSやスマホ・タブレットなどのモバイル端末が普及したおかげで、企業ブランドから「買手側」への情報発信がしやすくなりました。買手側も、気軽に興味があるブランドとのつながりを作れる環境が整っています。
また、今日では「一般消費者」も「消費者としての企業」も、何らかのプロダクトの購入を検討する際にはまずWebで検索し、レビューなどで評価や人気の度合いを調べます。それはあたかも、企業が採用活動で最初に書類審査で足切りをするのに似ています。
認知度が低い、あるいは口コミなどの評価が芳しくない企業ブランドは、ここで足切りされてしまうでしょう。いわば書類選考で落とされるように、検討圏外となってしまいます。
つまり、ブランド認知拡大は、売上にストレートに反映する重要なマーケティングの目的と言えるでしょう。SNSマーケティングやオウンドメディアによるコンテンツマーケティングなどで、複数のチャネルを連動させてブランディングを図る企業が増えています。
なお、コンテンツマーケティングに関する詳細に関しては、以下の特集記事『コンテンツマーケティングとは?情報の資産効果で顧客拡大を図ろう!』で取り上げていますので、ぜひそちらも参考にご覧ください。
また、ブランド認知に有効なInstagram(インスタグラム)を活用したインスタマーケティングの詳細については、以下の記事『インスタ(Instagram)マーケティングとは?使える全機能と活用のコツ!』で特集しています。ぜひそちらも参考にしてください。
新規リードの獲得
新規リードの獲得は利益の源泉であり、マーケティングの出発点でもあります。新たな顧客層の開拓は市場規模を広げることにつながるだけでなく、新たな視点をビジネスにもたらす重要な作業です。
なお、リード獲得にも役立つ心理学を応用したマーケティング手法に興味がある方は、以下の記事『心理学を応用したマーケティング手法一覧!すぐに使えるテクニック11選』ですぐに使えるテクニックをご紹介しています。ぜひ、そちらも参考にご覧ください。
リードの育成
獲得したリードの育成いかんで、顧客化した後のLTV(ライフタイムバリュー)が変わってきます。LTVはある顧客が生涯のうちにその企業に与える価値(落とす売上)です。
よりよく育成された顧客は、どんどんプロダクトのグレードアップを図っったり(アップセル)、関連するプロダクトも購入・利用したり(クロスセル)することで、LTVを向上させます。
ひとりのLTV自体は膨大な金額にはなりませんが、それが数千、数万人と広がっていけば、少しのLTVの違いが経営を振るがす金額になってきます。
なお、リード育成にも大いに活用できる、行動経済学や心理学に基づいた法則について、以下の特集記事『マーケティングの方法論を徹底解説!分析・戦略・プロモーションの手法一覧』において解説していますので、ぜひご一読ください。
顧客による共有拡散の促進
企業ブランドの熱心なファンは、お気に入りのブランドやそのプロダクトの良さを、SNSで広く共有拡散します。そしてひとりの顧客の背後には、数十から数百人の顧客予備軍が控えています。
もしその顧客が、多くのフォロワーを持つインフルエンサーであれば、数千から数万人に波及する可能性があります。
なお、共有拡散力があるSNSマーケティングのなかでも、Instagram(インスタグラム)を活用したインスタマーケティングの詳細については、以下の記事『インスタ(Instagram)マーケティングとは?使える全機能と活用のコツ!』で特集しています。ぜひ、そちらも参考にしてください。
顧客の囲い込み・流出回避
現代の顧客は、ちょっと飽きがくるとまたたく間に離れていくことがあります。したがってどんなビジネス分野でも、どんなに規模が大きい企業でも、顧客の囲い込み・流出回避は死活問題です。
なお、顧客の囲い込み・流出回避に重要な消費者心理の理解に欠かせない「顧客エンゲージメント」の概念について、以下の特集記事『マーケティング施策で高めるべき顧客エンゲージメントとは?事例付きで徹底解説』で詳しく解説しています。ぜひ、そちらも参考にご覧ください。
【当サイト「kyozon」とは?】
当サイト「kyozon」とは、読者のみなさんの日々の業務に役立つ情報群を発信し、ユーザーとベンダーのコミュニケーションを大いに活性化させるWebサービスです。また、読者のみなさんは関心があるサービスの資料を、無料でダウンロードでき、お役立ち資料としてご活用いただけます。
マーケティングの目的達成の手法
最後に、マーケティングの目的達成のために取られる、数々の手法について触れておきましょう。以下の5つの項目ごとに解説します。
- 目的達成のためのマーケティングリサーチ
- 目的達成のための市場分析
- 目的達成のためのマーケティング戦略立案・戦術考案
- 目的達成のためのマーケティング上のペルソナ設定
- 目的達成のためのマーケティング4Pからの脱却
目的達成のためのマーケティングリサーチ
マーケティングリサーチは、端的に言えばマーケティングにおける意思決定に必要な、合理的な判断材料を提供するための調査です。
プロダクトの開発や認知度向上、キャンペーンの最適化、顧客満足度の把握などのさまざまな目的を持って行い、その結果を分析してマーケティング戦略の構築や施策の立案に活かすものです。
マーケティングリサーチの高次元のミッションとしては、以下の2点があります。
- インサイト(消費者の無自覚の欲求)を探る
- 経営リスクの回避
インサイトはマーケティングの根幹に関わるものです、経営リスクの回避は経営の屋台骨を守る重要事です。
このようにマーケティングの目的を達成するためのマーケティングリサーチは、マーケティングの枠を超える上位命題である経営にも直接寄与します。
インサイトの概念を理解するためには、以下の特集記事でインサイトを詳しく取り上げて解説していますので、ぜひそちらを参考にしてください。
なお、マーケティングリサーチの詳細な内容については、以下の記事『マーケティングリサーチとは?調査分析方法の種類を整理して徹底解説!』にて調査分析方法の種類を整理してわかりやすく解説しています。ぜひ、そちらも参考にしてください。
目的達成のための市場分析
市場分析はマーケティングリサーチによって集めたデータを、マーケティングフレームワークなどを活用して分析する作業です。
市場分析はマーケティング戦略を構築するにあたって、必要不可欠な作業といえるでしょう。なぜなら、単にデータだけをいくら集めたところで、その情報が示唆する意味を理解していなければ戦略に反映することはできないからです。
きちんと市場を分析してこそ、有効な戦略が導き出せます。そのため、市場分析は戦略の良否を決める重大な要素です。
なお、マーケティング上の市場分析や、次の項目で触れる戦略立案に欠かせないフレームワークについては、以下の記事『マーケティング戦略に有効なフレームワーク9選!分析・立案フェーズ別に使い方も解説』で詳しく特集していますので、参考にしてください。
目的達成のためのマーケティング戦略立案・戦術考案
マーケティング戦略とは、プロダクトを市場に提供して売っていくためにどういう戦い方をすべきかという大局的な方針です。それゆえ、マーケティング戦略は企業業績を大きく左右する、現代マーケティングの中核をなすものです。
現場で展開されるマーケティング施策は戦略を実践的なアプローチに落とし込んだものなので、施策を成功させるためには戦略が優れていなければなりません。
なお、現代マーケティングの柱となるデジタルマーケティングに欠かせないマーケティングオートメーションについては、以下の記事『マーケティングオートメーションとは?ツールの選び方と運用の注意点』で取り上げていますので、参考にしてください。
また、業務としてのマーケティングとセールスの関係性について、連携のメリットと方法も含めて以下の記事『マーケティングとセールスの関係性とは?連携のメリットと方法も紹介!』で詳しく解説しています。ぜひ、参考にご覧ください。
目的達成のためのマーケティング上のペルソナ設定
ペルソナ設定は、ターゲットの代表的人格をペルソナ(主役)として仮定し、あたかも実在する人のように、生活背景やプロフィールを細かく設定するマーケティング手法です。
それにより、ターゲットの反応をリアルに想像できるようになり、有効な施策の検討ができます。
ペルソナの設定方法はBtoBビジネスとBtoCビジネスでは、少し異なります。BtoBのペルソナはクライアント企業とその窓口担当者で設定します。
ここでは参考にBtoBビジネスのペルソナを設定する際の基本項目を挙げておきましょう。主に以下のような10項目となります。
<企業>
- 1:基本情報:企業名・所在地・資本金額・年商・社員数・創業年
- 2:事業領域・業種
- 3:決裁権者
- 4:企業の目標・決算期
- 5:企業の課題
- 6:企業風土
<窓口担当者>
- 7:基本情報:氏名・年齢・セクション・職位・勤続年数
- 8:個人目標
- 9:個人の課題
- 10:決裁権の有無
決裁者が別に存在する場合も多いので、その場合は決裁者のペルソナをさらに7〜10の項目で設定します。
なお、マーケティングにおけるターゲット設定やペルソナの戦略的意義を、コトラーやドラッカーの理論を交えつつ以下の記事で解説しています。ぜひ参考にご覧ください。
目的達成のための「マーケティングの4P」からの脱却
従来は多くの企業が、マーケティングにおいて「マーケティングの4P」、別名「マーケティングミックス」というフレームワークを用いて戦略を検討していました。
4Pはマーケティング活動において、以下の4つのPから始まる要素に留意してマネジメントを行う考え方です。
- Product:製品=何を生産するか?
- Price:価格=どういう価格設定にするか?
- Place:販路=どういう経路で売るか?
- Promotion:広告・販促=どうやって集客するか?
しかし4Pが確立された時代は「商品」が中心のマーケティングでしたが、その後「サービス」も重要なプロダクトとして認知されてきたのです。さらには、PlaceとPromotionが飛躍的に多様化しています。
加えてインターネットの普及とモバイル端末の発達によって、消費者の購買行動は大きく変化しました。そのため、従来の4Pの考え方だけでは、時代に即したマーケティングは不可能となりつつあります。
また、4Pの考え方が「プロダクトアウト」(供給者の論理)であるとして、否定的な立場をとる人も多いのが事実です。「マーケットイン」(消費者側の論理)を並行して考慮すべきとうことです。
「4Pはもう古い」と最近よく言われますが、何も4Pが無効になったわけではなく、4Pでは想定されていなかったさまざまなファクターの影響力が市場に大きく反映されているからです。
そのため、4P頼りだった戦略構築からは脱却する必要があります。具体的には、4Pをベースにしつつも時代に合わせてブラッシュアップした考え方と、付加すべき視点が必要です
その問題に関して、ドラッカーによる4Pをブラッシュアップした考え方についての特集記事『マーケティングの4Pはもう古い?ブラッシュアップした考え方と付加すべき視点』で詳しく取り上げて解説しています。ぜひ、そちらも参考にご覧ください。
まとめ
マーケティングの目的について、その定義や設定の例、目的達成のための手法などを網羅して解説しました。各ディテールのさらに詳しい情報は、それぞれでご紹介した関連記事にてご確認いただければ幸いです。
マーケティング担当者や決裁者のみなさんは、自社のマーケティングの目的を今一度見直してください。そして、万が一まだ目的が明確でなければ、ここでご紹介した情報をもとにマーケティングの目的を刷新し、新たな展開に踏み出してください。
また、当メディア「kyozon」ではマーケティングに役立つ、さまざまなサービスの資料が無料でダウンロードできます。マーケティング担当者や責任職のみなさんは、ぜひご利用ください。
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※マーケティング戦略を学ぶためや、マーケティング業務の実践に役立つおすすめ本を厳選して20冊、以下の記事にてご紹介しています。ぜひ、参考にご覧ください。
※当サイトの読者のみなさんが携わっていると思われるサブスク型ビジネス、とりわけSaaSビジネスにとって最重要課題ともいえる「カスタマーサクセス」を以下の記事で特集しています。ぜひご一読ください。
※マーケティングスキルこそ、身につけて損がないビジネス上の最強の自己資源であることを、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にご覧ください。