今回は、KPI・KGI・KSF・OKRの違いや関係性に焦点をあてて解説していきます。
ここでは、
- 「KPI」と「KGI」の関係性
- 「KSF」とKPI・KGIとの関係性
- KPIとは異なる目標管理手法である「OKR」とは
という流れで解説していきます。
「KPI」と「KGI」の関係性
「KPI」と「KGI」の関係性について説明する前に、まずは両者の意味について解説していきます。
単語は似ていますが意味は全く異なりますので、覚えておきましょう。
KPIとは
KPI(Key Performance Indicator)とは、日本語では「重要業績評価指標」や「重要目標評価指標」と呼ばれる言葉です。KPIを設定することで、目標を達成するために必要なプロセスを指標化でき、それにより中間評価することができます。
目標を達成するには、まずプロセスを分解して考えなければなりません。例えば、「資料請求数」が月間300件、「検索エンジン経由のアクセス数」が10万セッションの場合、月間「資料請求数」を2倍に増やすには、中間的なプロセスとしての「セッション数」を20万まで増やす必要があります。この「セッション数」がKPIの候補となります。
KPIを設定せずに資料請求数を増やそうとした場合、目標達成に関係がない項目に注目してしまい、無駄な作業が増える可能性があるでしょう。
KGIとは
KGI(Key Goal Indicator)とは、日本語で「重要目標達成指標」と訳されます。「売上高」や「成約数」など、経営レベルの指標とその目標水準を設定します。KGIの設定によって、企業がもっとも力を入れるべき目標が明確となり、注力すべき業務のみに時間をかけられるため業務効率化に繋がるでしょう。
また、目標達成率を数値などの客観的な指標で確認できるため、意思決定のスピードが上がります。
KPIとKGIの関係性
KPIとKGIはセットで考えることが大切です。KGIを設定し、KPIへ落とし込むことで、効率よく目標を達成できるようになります。
KGIが「売上高」の場合に設定すべきKPIは、「販売数量」や「販売単価」、「購入率」、「訪問客数」などです。何をKPIに設定すべきかは、状況によって異なります。
KPIを達成していくことでKGIが達成していくように、関連性を意識してKPIとKGIを設定しましょう。
KPIとKGIを設定するメリット
KPIとKGIを設定するメリットは以下の3つです。
- 取り組むべき業務が明確になる
- モチベーションが上がる
- 的確な判断に繋がる
これらを抑えれば、作業効率が上がること間違いなしです。
KPIとKGIのメリット①:取り組むべき業務が明確になる
KPIとKGIを設定することで、優先的に取り組むべき業務が明確になります。例えば、月のセッション数を2倍まで増やすには、検索流入を増やすためのSEO対策を強化したり、SNS運用したりする必要があるでしょう。KPIをさらに分解して、1つずつ着実に達成していくことで、KGIが達成できるようになります。
一方でKPIを設定してない場合、重要性が低い業務に高いコストをかけてしまい、結果的に目標達成の進捗が悪くなるでしょう。キャッシュフローが悪くなりかねないため、KPIとKGIの設定は必須です。
KPIとKGIのメリット②:モチベーションが上がる
どの業務に取り組むべきか明確になれば、従業員のモチベーションが上がります。指示された業務に取り組んで目的を達成しても、自分が本当に事業の役に立っているのかわかりません。KPIを設定すれば、KPIの達成に取り組むことで事業の役に立っていることが明確になるため、高いモチベーションを維持しやすいでしょう。
また、1つの目標を達成するためにチームが一丸になり、組織力の向上が期待できます。
KPIとKGIのメリット③:的確な判断に繋がる
KPIを設定しない場合、KGIの達成率が悪いときに取り組むべきことがわからず、間違った判断を下す恐れがあります。KPIを設定すれば、KGIの達成のために取り組むべきことがわかるため、経営者として現場に指示をしやすいのです。
「KSF」とKPI・KGIとの関係性
次にKPIやKGIと似た指標である「KSF」というものもあります。
KSFとは
KSF(Key Success Factor)とは、日本語で「重要成功要因」といいます。つまり、目標達成に最も重要な鍵となる要因のことです。目標達成上、最も大切と考えられるプロセスをこれに設定します。
おもに「競合他社との格差」「自社の能力」「顧客対応能力」の3つを分析(3C分析)し、KSFを策定します。
それでは、KPIとKGIとの関係性やKSFを設定するメリットを詳しくみていきましょう。
「KSF」とKPIとKGIとの関係性
KSFを定量的に評価する指標がKPIになり、KSFはKGIとKPIを繋ぎます。
KGIを踏まえてKSFを策定し、KSFを計測可能にするKPIを設定することで、関連性が高いKGIとKPIを設定できるようになります。KGI、KPI、KSFの設定例をみていきましょう。
KGI … 月間の成約件数2000件
KSF … SEO対策、リスティング広告の実施、サイトデザインの改善、LPO、EFO
KPI … 自然流入数5万件、広告流入数5万件、コンバージョン率2%
このように、KPIを達成するために必要な要因をKSFに設定します。
KSFを設定するメリット
KSFを設定することで、ゴールに向けた軸ができるため事業全体にブレがなくなります。このようにして、メンバーの目線が統一されて、1つの目標に向かって一致団結できるようになるのです。
KPIとは異なる目標管理手法である「OKR」とは
最後にKPIとは異なる目標管理手法である「OKR」についても解説します。
OKRとは
OKR(Objectives and Key Results)は、日本語で「目標と主要な成果」といいます。最初に会社全体の目標(O)を設定し、目標達成に繋がる主要な成果(KR)を設定します。次に、会社全体の主要な成果を個々の部署と個人の目標に分解して割り当てるのです。
OKRは、日本ではまだまだ浸透しておらず、GoogleやFacebook、メルカリなどの企業が導入したことから話題になりました。
OKRとKPIは似ていますが、KPIが最終目標の達成に必要な経過目標であるのに対し、OKRは最終目標の達成に必要な道のりを社内で共有したり可視化したりするものです。また、目標達成の期待水準は60~70%で、KPIとは違い100%の達成を強く目指すものではありません。
OKRの例
それでは、OKRの設定例をご紹介します。
O:会社全体の目標
会社全体の目標は、取扱製品やサービスなどに応じて、次のように設定します。
- 自社製品の認知拡大とオウンドメディアを通じた収益拡大
- 自社のWebメディアの認知拡大と広告掲載依頼による収益拡大
- マーケティングの力で世の中小企業に貢献し経済を回す
このように、KGIとは違い、具体的な数値を使用しません。
全社員がワクワクするような大きな目標を掲げるのが特徴です。
KR:目標達成に必要な主要な成果
目標達成に必要な主要な成果は、次のように設定します。
- ○月×日までにオウンドメディアの月間30万PVを達成
- ○月×日までにCM放映と掲載記事数600本を達成
- ○月までに新機能○○をリリースする
このように、目標を達成するために必要な成果を掲げましょう。そして、成果を挙げるために必要な目標を部署、個人ごとに設定していきます。
OKRを設定するメリット
OKRを設定するメリットは以下の3つです。
- 大きな目標の達成に向けて行動できる
- 目標達成の意識付けができる
- 企業と従業員との信頼関係が高まる
OKRのメリットを抑えておくことで、会社の利益拡大に大きく貢献できます。
OKRのメリット①:大きな目標の達成に向けて行動できる
目標達成の期待水準は60~70%で、もともとの目標を高く設定します。従業員には100%の達成を目指すように伝えるため、より大きな目標を達成できる可能性が高まります。また、難易度は部署やチーム、個人で共通のため、モチベーションも維持しやすいでしょう。
OKRのメリット②:目標達成の意識づけができる
チームや個人に目標を設定することで、会社全体の目標を達成するために重要な役割を任されていることを実感できます。一致団結して業務に取り組めるようになり、目先の重要度が低い業務に惑わされにくくなるでしょう。
OKRのメリット③:企業と従業員との信頼関係が深まる
どのような成果を期待しているのか従業員に示すことで、行うべき業務が明確化され、業務に対するモチベーションが上がります。また、会社に貢献できていることを実感できて、会社に対する愛着が深まることも期待できるでしょう。
まとめ
KPI・KGI・KSF・OKRの違いを以下にまとめました。
| KPI | KGI | KSF | OKR |
概要 | KGIの達成に必要な経過目標 | 企業の最終目標や重要な目標 | KGIを達成するための成功因子 | 全体目標の達成に必要な個々の目標と主要な成果 |
メリット | 優先的に取り組むべき業務が明確化される | 進むべきゴールが明確になる | ゴールに向け事業全体のブレがなくなる | 企業全体の目標と、個人の行動がリンクする |
企業の最終的なゴールに向け適切にこれらの指標を設定することで、最小の努力で達成できるようになるでしょう。また、企業と従業員の信頼関係が深まることで、優秀な人材へと成長しやすくなります。それぞれ適切に設定して、企業を成長させるための準備を整えましょう。
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記事執筆:加藤 良大
記事設計・編集:中條 優