今回はKPIツリーの作り方についてご紹介します。
ここでは、
- KPIツリーとは(目的、メリット、利用しないデメリット)
- KPIツリーの作り方の手順
- 作る際のポイント
という流れで解説していきます。
※「そもそもKPIって何?」という方はまずはこちらの記事をご参考ください。
組織のパフォーマンスを高める「KPI」とは?メリットや基本的な概念をわかりやすく解説!
KPIツリーとは
KPI(Key Performance Indicator)は、KGI(Key Goal Indicator)の達成において重要な指標となります。
KPIはいわばKGIへのマイルストーンのようなもので、達成していくことでKGI達成につながる項目をKPIに設定します。KPIを設定するときには、KPIツリーの作成は欠かせません。
KPIツリーとは、KGIを頂上に設定し、KGIの達成に必要な要素を分解していく方法のことです。
KPIツリーを作る目的
KPIツリーを作成する目的は、最適なKPIを設定することです。
頭の中だけでKPIの候補をイメージする場合、最適解にたどり着くまでに時間がかかります。また、本当にKGIと関連性が深いのか、今ひとつイメージできません。
KPIツリーを利用するメリット
KPIツリーを作成することで次のメリットが得られます。
メリット①:的確な項目をKPIに設定できる
KPIとKGIの相関を構造的にイメージしやすくなるため、関連性が深い項目をKPIに設定できるようになる
メリット②:重要度の高い業務が把握できる
最終目標のからKPI、さらに具体的な行動レベルまで落とし込むことで、構造的に重要度の高い業務が把握できるようになります。
メリット③:現状の課題や抜け漏れに気付ける
構造的に可視化および一覧化できるため、現状の課題や戦略的な抜け漏れに早急に気付ける
メリット④:末端の従業員のモチベーションや生産性が高まる
末端の従業員は自身の業務と業績の関係に意義を感じられるためモチベーションが高まります。また、重要な業務の全体像が把握できるためムダな業務かどうかの判断が容易になりチームの生産性が高まるでしょう。
KPIツリーを使わないことのデメリット
KPIツリーを作らなかった場合、次の問題が起こる恐れがあります。
①:現状の問題点やボトルネックを見落とす
KPIツリーを作成すると、KGIの達成に必要な要素が明確化されます。
一方で、KPIツリーを作成しない場合、KGIの達成に必要な要素が構造的に把握しにくいため、現状の重大な問題点やボトルネックを見落とす恐れが高まります。
たとえば、KPIを分解していくことで、テレアポ数が圧倒的に少ないことが売上低迷の原因だと気づけるケースがあります。
②:施策の方向性を見誤り、高まるはずの生産性を得られない
デメリット①の結果、問題点を把握できていない場合、施策の方向性を見誤り、最適な施策を打ち出せず、本来高められたはずの生産性を得られなくなります。
KPIツリーの基本的な作り方
それでは、KPIツリーの基本的な作り方を詳しくみていきましょう。
手順①:まずはKGIを設定しよう
まずはKPIツリーの柱となるKGIを決定しましょう。
たとえば、営業部門なら「売上高」、Webマーケティング部門なら「成約数」や「有料会員数」などと経営レベルで重要となる指標に決めます。
手順②:KGIの達成に必要な要素をKPIに設定する
次にKGIを頂点におき、KPIとなる項目を決定していきます。
下図は先ほどと同様の図です。
KPIの項目を決定する際は、KGIを達成するためにどんな要素を達成する必要があるのかを考えましょう。そのうえで、設定したKPIの項目を満たすのに必要な要素をさらに分解して設定します。
たとえば、KGIが「売上高」、KPIが「顧客数」と「商談成約数」の場合は、次のように分解します。
「顧客数」…「新規獲得顧客数」+「既存顧客数」
「商談成約数」…「商談数」×「商談成約率」
このように、「顧客数」と「商談成約率」の目標を達成するために必要な要素を設定しましょう。
手順③:数値が連動しているか確認する
設定したKPIがKGIと連動しているか確認しましょう。
KPIの要素を掛け合わせていくと、KGIで定めた数値になる必要があります。
KPIの達成に必要な要素に単なる言葉や概念を設定すると、KGIと連動しているかわかりません。
単位は数値を設定して、KPIツリーの作成時に計算してみましょう。
たとえば、「年間売上高(円/年)」をKGIに設定した場合は、「顧客数(人/年)×顧客平均単価(円/人)」といった要素を設定します。
KPIツリーの作り方のポイント
KPIツリーを作るときは、次のポイントを押さえましょう。
ポイント①:ツール(ExcelやPowerPoint)を使う
KPIツリーを作るときに便利なのがExcelとPowerPointです。まずは、ExcelでKGIと細分化した要素を設定しましょう。Excelは、かけ算や足し算、割り算などを自動化できるため、KPIツリーを作るときに便利です。
ExcelでKGIやKPIを設定したら、次はPowerPointで構造化しましょう。KGIから複数のKPIを設定し、さらに行動レベルまでそれぞれ分岐させていきます。KPIツリーの形に明確なルールはありません。
KPIツリーは全従業員が確認することになるため、視覚的に見やすい形で可視化することが大切です。
ポイント②:KPIの条件を満たしている指標を選ぶ
KPIツリーのメリットを得るには、KPIの条件を満たしている指標を選ぶ必要があります。
KPIの条件は次のとおりです。
- 数値化できる
- 計測できる
- 評価対象としての妥当性がある
- KGIとの関連性が深い
- 期間を設定できる
これらの条件を満たさない指標をKPIに設定しても、十分なメリットを得られません。
たとえば、数値化でき、かつ計測可能でなければ、達成度を客観的に評価することはできません。また、期間を設定できなければ、いつまでに達成すべきか決めることができません。
効果検証ができて妥当性に優れており、期間を設定できるKPIを定めることが大切です。
もしあなたが自社サイトで集客しているなら、「コンバージョン率(CVR)」は一つのKPI指標となりえます。
コンバージョン率の改善にはさまざまな施策が存在しますが、最も手軽に大きな成果を上げるには入力フォーム改善の施策が挙げられます。
入力フォームは最大のボトルネックとなりやすいですが、「EFO CUBE」のようなツールを使えば、効率的にKPIの数値化&改善が見込めます。
こうしたツールの活用はKPI戦略としてとても有効で、数字にシビアな経営層への説明にもサポートからのレポートが有用となるでしょう。
ポイント③:単位をそろえる
KPIツリーの単位はそろえることが大切です。単位がそろっていなければなにか抜け漏れがあるはずです。
ただし、パーセンテージ(%)の場合、これは係数であって単位はありませんので、単位を気にせず掛け合わせることは可能です。
たとえば、「訪問者数(人)」と「購入率(%)」を掛け合わせた場合は、結果は「購入者数(人)」となり単位は「人」になります。
上の階層の要素と単位が合うように設定しましょう。
まとめ
今回はKPIツリーの作り方に焦点をあてて解説しました。
KPIツリーを作成することで漏れがなく最適なKPIを設定できるなどさまざまなメリットがあります。適切なKPIを設定できそれをツリー上に構造化すれば、従業員のモチベーションアップや的確な施策の立案などに繋がります。
KPIツリーの作成は、適切なKGIとKPIの設定に欠かせません。ExcelでKGIとKPI、分解した要素を設定し、PowerPointで視覚化するだけで作れるので、挑戦してみてはいかがでしょうか。
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記事執筆:加藤 良大
記事設計・編集:中條 優
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