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越境EC初心者でも失敗しない始め方|5つのステップでわかる準備と注意点

投稿日:2025年8月27日 /

更新日:2025年8月27日

越境EC初心者でも失敗しない始め方|5つのステップでわかる準備と注意点

「越境ECを始めてみたいけど、何から手をつけて良いか分からない…」そんな初心者の方へ。この記事では、越境ECと国内ECの違いから、始める前に知るべきメリット・デメリット、そして具体的な5つのステップまで、初心者でも失敗しないための始め方を徹底解説します。関税や為替リスク、集客方法など、押さえるべき重要ポイントも網羅。ShopifyやAmazon、楽天市場といった具体的なプラットフォームやサービスも紹介し、あなたの越境EC事業を成功に導くための道筋を示します。この記事を読めば、今日から海外市場へ挑戦するための準備が整います。

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目次

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越境ECとは?国内ECとの違いを初心者向けに解説

越境ECとは、インターネットを通じて国境を越え、海外の消費者に対して商品を販売する電子商取引のことです。近年、スマートフォンの普及や物流網の発展により、個人や中小企業でも手軽に海外市場へ参入できるようになりました。国内ECが日本国内の顧客を対象とするのに対し、越境ECは世界中の顧客をターゲットにできる点が最大の特徴です。

国内ECと越境ECは、どちらもインターネット上で商品を販売するという点では共通していますが、その裏側では多くの違いが存在します。これらの違いを理解することが、越境ECを成功させるための第一歩となります。

具体的に、国内ECと越境ECにはどのような違いがあるのか、以下の表で比較してみましょう。

項目国内EC越境EC
販売対象日本国内の消費者海外の消費者(世界中)
言語日本語のみターゲット国の言語、または英語など複数言語対応が必要
通貨・決済日本円、国内の主要決済方法(クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済など)多通貨対応、国際的な決済方法(クレジットカード、PayPalなど)
物流・配送国内配送サービスを利用、比較的短納期国際配送サービスを利用、通関手続きや関税、配送リードタイムの考慮が必要
法律・規制日本の特定商取引法、景品表示法など輸出入国の法律(消費者保護法、個人情報保護法など)、関税・消費税の適用
商習慣・文化日本の商習慣、顧客対応文化各国の商習慣や文化、祝日、返品ポリシーなどの違いを考慮
カスタマーサポート日本語での対応多言語での対応、時差を考慮したサポート体制

このように、越境ECは国内ECと比較して、言語、決済、物流、法律、文化など、多岐にわたる側面で複雑性が増します。特に、関税や輸出入規制、為替変動リスクなど、国内ECでは意識することのなかった新たな課題に直面する可能性があります。しかし、これらの違いを事前に理解し、適切な準備を行うことで、世界中の巨大な市場にアクセスし、ビジネスチャンスを大きく広げることができるでしょう。

越境ECを始める前に知るべきメリットとデメリット

越境ECに挑戦する前に、その魅力と同時に潜むリスクを理解しておくことは、失敗しないための第一歩です。国内ECとは異なる独自のメリットとデメリットを把握し、事業計画に役立てましょう。

越境ECの4つのメリット

越境ECには、国内市場だけでは得られない大きなビジネスチャンスが広がっています。特に初心者の方にとって、どのようなメリットがあるのかを具体的に見ていきましょう。

越境EC最大のメリットは、国内市場の限界を超えてビジネスを拡大できる点にあります。日本の人口減少や市場の成熟化が進む中で、海外にはまだ開拓されていない巨大な市場が存在します。例えば、東南アジアやインドなど、経済成長が著しい国々では、インターネット普及率の向上とともにEC市場も急速に拡大しており、新たな顧客層を獲得する大きなチャンスがあります。

次に、日本製品に対する高い需要を活用できる点も大きなメリットです。世界的に「Made in Japan」の品質やデザイン、サービスは高く評価されており、化粧品、アニメグッズ、ファッション、伝統工芸品など、多岐にわたる日本製品が海外で人気を集めています。国内ではニッチな商品でも、海外では熱狂的なファンがいるケースも少なくありません。

また、越境ECを通じて商品を販売することは、ブランドのグローバル化と価値向上に繋がります。海外の顧客に商品を届けることで、自社ブランドの認知度を国際的に高め、より信頼性の高いブランドイメージを構築できます。これは、将来的な事業展開や企業価値向上にも大きく貢献するでしょう。

最後に、事業リスクの分散という側面も見逃せません。特定の国内市場だけに依存せず、複数の国や地域でビジネスを展開することで、ある市場の経済状況が悪化した場合でも、他の市場で売上を確保できる可能性が高まります。これにより、経営の安定性を高め、持続可能な事業運営を目指すことができます。

越境EC初心者が注意すべきデメリットと課題

越境ECは魅力的な一方で、国内ECにはない特有の課題やリスクも存在します。これらのデメリットを事前に理解し、対策を講じることが成功への鍵となります。

まず、言語と文化の壁は越境ECにおいて避けて通れない課題です。商品ページの説明文やカスタマーサポートは、現地の言語に翻訳する必要がありますが、単なる直訳では不自然になったり、文化的なニュアンスが伝わらなかったりすることがあります。ターゲット国の文化や習慣を理解し、現地の消費者に響く表現を用いる「ローカライズ」が非常に重要になります。

次に、各国の法規制や関税の複雑さです。輸出入には、商品の種類に応じた規制や許可が必要な場合があります。また、関税や消費税(VAT/GSTなど)は国によって税率や計算方法が異なり、これらを正確に把握し、適切に徴収・申告しなければなりません。知らずに違反してしまうと、商品の差し止めや罰金などのリスクがあるため、事前の調査と専門家への相談が不可欠です。

物流と配送も大きな課題です。国際配送は国内配送に比べて送料が高くなりがちで、配送日数も長くかかります。また、配送中の紛失や破損、現地の税関でのトラブルなど、予期せぬ問題が発生する可能性も考慮しなければなりません。適切な配送業者を選び、追跡サービスや保険の利用を検討することが重要です。

決済面では、海外からの決済手数料や為替変動リスクに注意が必要です。クレジットカード決済やPayPalなど、海外で主流の決済方法を導入する必要がありますが、これらには手数料が発生します。また、注文時と入金時で為替レートが変動することで、想定していた利益が得られない、あるいは損失が出る「為替リスク」も存在します。為替ヘッジなどの対策を検討することも大切です。

最後に、カスタマーサポートの難しさです。顧客からの問い合わせは、時差があるためリアルタイムでの対応が難しく、多言語での対応も求められます。返品や交換、クレーム対応など、迅速かつ的確なサポートを提供できないと、顧客満足度が低下し、ブランドイメージに悪影響を与える可能性があります。FAQの整備や現地言語対応可能なサポート体制の構築が求められます。

【5つのステップ】越境ECの始め方を初心者にもわかりやすく

越境ECを始めるには、国内ECとは異なる準備と知識が必要です。しかし、適切なステップを踏めば、初心者でもスムーズに海外市場へ進出できます。ここでは、越境ECを成功させるための具体的な5つのステップを、初心者にもわかりやすく解説します。

ステップ1|販売する国と商品を決定する

越境ECを始めるにあたり、まず最初に行うべきは「どこに」「何を」売るかを明確にすることです。この決定が、その後の戦略の成否を大きく左右します。

ターゲット国の選定方法

ターゲット国を選定する際は、以下の点を考慮しましょう。

  • 市場規模と成長性:越境ECの市場が大きく、今後も成長が見込まれる国を選びましょう。インターネット普及率やEC利用率も重要な指標です。
  • 競合の状況:既に多くの競合がいる市場は、参入障壁が高い可能性があります。しかし、競合が多いということは、それだけ需要があるとも言えます。
  • 文化と消費者の嗜好:現地の文化や習慣、消費者の購買行動を理解することが不可欠です。日本製品への関心が高い国は、比較的参入しやすいでしょう。
  • 規制と法律:輸入規制、関税、現地の消費税など、貿易に関する法規制を事前に確認しておく必要があります。
  • 物流インフラ:安定した配送網や通関手続きの効率性も重要です。インフラが未整備な国では、物流コストが高くなったり、配送トラブルのリスクが増加します。
  • 為替レートの安定性:為替変動は収益に直接影響するため、経済的に安定している国を選ぶことも考慮点です。

最初は、市場規模が大きく、日本製品への好意度が高いアジア圏や北米から始めるのが一般的です。JETRO(日本貿易振興機構)などの公的機関が提供する市場調査レポートや統計データも、ターゲット国選定の強力な情報源となります。

販売商品の注意点と輸出規制

販売する商品を決定する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 現地のニーズ:日本で売れている商品が必ずしも海外で売れるとは限りません。ターゲット国の市場調査を通じて、現地の消費者が何を求めているかを把握しましょう。
  • 競合優位性:類似商品と比較して、価格、品質、デザイン、機能性などで優位性があるかを確認します。
  • 輸送のしやすさ:液体、粉末、バッテリー内蔵製品、壊れやすいものなどは、輸送に制限があったり、コストが高くなる場合があります。
  • 輸出規制の確認:国や商品によっては、輸出入に厳しい規制が設けられています。特に、食品、化粧品、医薬品、電気製品、動植物製品、知的財産権に関わる商品などは、輸出許可や成分表示の義務、特定の認証が必要となるケースが多いです。ワシントン条約(CITES)に該当する動植物製品は、国際取引が厳しく制限されるため注意が必要です。
  • 原産地証明書:特定の国へ輸出する際、商品の原産地を証明する書類が必要になることがあります。

これらの規制を事前に確認し、必要な手続きを怠らないことが、トラブルを避ける上で非常に重要です。

ステップ2|ECサイトの出店方法を選ぶ

越境ECの販売チャネルは、大きく分けて3つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解し、自社の状況や戦略に合った方法を選びましょう。

自社ECサイト型:Shopifyなど

自社でECサイトを構築し、運営する形式です。代表的なプラットフォームにShopify(ショッピファイ)があります。

  • メリット:
    • デザインや機能の自由度が高いため、ブランドの世界観を最大限に表現できます。
    • モール型に比べて販売手数料が低く抑えられることが多いです。
    • 顧客データや販売データを自社で管理・分析し、マーケティングに活用しやすいです。
  • デメリット:
    • サイト構築や初期設定に専門知識や時間、コストがかかる場合があります。
    • 集客は自力で行う必要があるため、SEOや広告などのマーケティング戦略が不可欠です。
    • セキュリティ対策やシステムメンテナンスも自社で行う必要があります。

Shopifyは多言語・多通貨対応が標準で備わっており、越境ECに特化したアプリも豊富なため、初心者でも比較的容易にグローバルなECサイトを構築できます。

海外ECモール型:AmazonやeBayなど

AmazonやeBay、アリババ(Alibaba.com)など、海外の大手ECモールに出店する形式です。

  • メリット:
    • 圧倒的な集客力があり、自社で集客を行う手間が省けます。
    • 決済システムや配送インフラ(例:AmazonのFBA)が整備されており、越境ECの複雑な手続きの一部を代行してもらえます。
    • 初期費用を抑えて始められることが多いです。
  • デメリット:
    • モール内の競合が非常に多く、価格競争に巻き込まれやすいです。
    • モールが定める厳しい規約や手数料に従う必要があります。
    • ブランドの独自性を出しにくい場合があります。
    • 顧客情報がモール側に管理されるため、直接的な顧客育成が難しいです。

国内ECモール海外販売型:楽天市場など

日本のECモールが提供する海外販売サービスを利用する形式です。楽天市場の「楽天グローバルエクスプレス」などが該当します。

  • メリット:
    • 既に国内で出店実績がある場合、既存のノウハウや商品を活かして手軽に海外販売を始められます
    • モール側が多言語対応や海外配送の一部をサポートしてくれるため、越境ECのハードルが下がります。
  • デメリット:
    • 対応している国や決済方法、配送方法に制限がある場合があります。
    • 海外での認知度が低い場合、期待するほどの集客効果が得られない可能性があります。
    • 手数料が比較的高くなることがあります。

各出店方法の比較は以下の通りです。

出店方法特徴メリットデメリットこんな方におすすめ
自社ECサイト型
(Shopifyなど)
独自のECサイトを構築・運営自由度が高い、ブランディングに最適、手数料を抑えられる集客は自力、構築・運用に手間とコスト長期的なブランド構築を目指す、マーケティングに自信がある
海外ECモール型
(Amazon、eBayなど)
海外の大手ECモールに出店高い集客力、インフラ活用、手軽に始められる競合が多い、手数料、規約に縛られるすぐに販売を開始したい、集客コストを抑えたい
国内ECモール海外販売型
(楽天市場など)
国内モールの海外販売サービスを利用既存のノウハウ活用、手軽、一部サポートあり対応範囲に制限、海外での認知度、手数料国内ECの延長で海外販売を試したい、初期投資を抑えたい

ステップ3|海外向けの決済方法を導入する

海外の顧客が安心して購入できるよう、多様な決済方法を用意することが重要です。決済手段が少ないと、カゴ落ちの原因になることがあります。

クレジットカード決済とPayPalの重要性

越境ECにおいて、特に重要な決済方法は以下の2つです。

  • クレジットカード決済:

    Visa、Mastercard、JCB、American Expressなど、世界的に広く利用されているクレジットカードに対応することは必須です。多くの決済代行サービスがクレジットカード決済を提供しており、導入も比較的容易です。セキュリティ対策(3Dセキュアなど)が施されたサービスを選ぶことで、不正利用のリスクを軽減できます。

  • PayPal(ペイパル):

    PayPalは、世界中で広く普及しているオンライン決済サービスです。アカウントを持つユーザーは、クレジットカード情報を直接入力することなく、PayPalアカウント経由で安全に決済できます。購入者保護制度が充実しているため、海外の顧客からの信頼も高く、導入することで購入率の向上が期待できます。

その他、ターゲット国によっては、現地の銀行振込、デビットカード、電子マネー(例:中国のAlipay、WeChat Payなど)など、地域に特化した決済方法を導入することも検討しましょう。決済手数料や為替手数料、入金サイクルなども、サービス選定の重要な要素となります。

ステップ4|商品の配送方法と送料を決める

海外への配送は、国内配送とは異なる複雑さがあります。適切な配送方法を選び、送料を明確にすることは、顧客満足度とコスト管理の両面で重要です。

国際郵便EMSと国際宅配便の比較

主な国際配送サービスは以下の2つです。

  • 国際郵便EMS(国際スピード郵便):

    日本郵便が提供する国際郵便サービスの中で、最も速く、追跡・損害賠償制度も充実しています。料金は比較的リーズナブルで、小口・軽量の貨物に適しています。世界120以上の国・地域に配送可能です。手軽に利用できるため、越境EC初心者にもおすすめです。

  • 国際宅配便(DHL、FedEx、UPSなど):

    世界的な大手宅配便業者によるサービスです。EMSよりもさらに速く、配送状況の追跡精度も高く、手厚いサポートが受けられることが多いです。高額品や大型品、緊急性の高い貨物に適していますが、料金はEMSよりも高くなる傾向があります。通関手続きの代行サービスも充実しているため、複雑な手続きを任せたい場合に有効です。

各配送方法の比較は以下の通りです。

サービス名特徴メリットデメリットこんな方におすすめ
国際郵便EMS
(日本郵便)
国際郵便最速のサービス料金が比較的リーズナブル、手軽、追跡・保険あり大型・高額品には不向き、通関サポートは限定的小口・軽量の商品、コストを抑えたい初心者
国際宅配便
(DHL、FedEx、UPSなど)
世界的な大手宅配便業者高速配送、高い信頼性、充実した追跡・サポート、通関代行料金が高め、サービス内容が複雑な場合も高額品・大型品、迅速な配送が必要、手厚いサポートを求める

送料は、購入者が最も気にするポイントの一つです。送料込みの価格設定にするか、送料を別途請求するか、無料配送の条件を設けるかなど、販売戦略に合わせて検討しましょう。また、関税や現地の消費税(VAT/GST)を誰が負担するのか(購入者負担か、販売者負担か)も明確にしておく必要があります。これは「インコタームズ」と呼ばれる国際的な貿易条件で定められますが、初心者にはDAP(仕向地持ち込み渡し・関税抜き)やDDP(仕向地持ち込み渡し・関税込み)などの用語を理解し、購入ページに明記することが重要です。

ステップ5|集客方法と顧客対応体制を構築する

ECサイトを立ち上げ、決済・配送の準備が整ったら、次に重要なのは顧客を呼び込み、良好な関係を築くことです。

海外向けWebマーケティングの手法

海外の顧客に商品を届けるためには、ターゲット国に合わせたマーケティング戦略が必要です。

  • SEO(検索エンジン最適化):

    ターゲット国でよく使われる検索エンジン(Google、Baidu、Naverなど)の特性を理解し、現地の言語でキーワードを選定し、サイトを最適化します。多言語対応は必須です。

  • SEM(検索エンジンマーケティング):

    Google広告やBing広告など、検索連動型広告を活用して、特定のキーワードで検索しているユーザーにリーチします。地域や言語、興味関心でターゲティングが可能です。

  • SNSマーケティング:

    ターゲット国で人気のSNS(Facebook、Instagram、TikTok、WeChat、LINEなど)を活用し、現地のインフルエンサーと連携したり、広告を配信したりして、ブランド認知度を高めます。各SNSの特性やユーザー層を理解することが重要です。

  • コンテンツマーケティング:

    ターゲット国の文化やトレンドに合わせたブログ記事、動画コンテンツなどを制作し、顧客の興味を引きつけます。

  • 現地のオンラインメディアとの連携:

    現地の人気ブログやニュースサイト、レビューサイトなどに商品を紹介してもらうことも効果的です。

これらの手法を組み合わせ、継続的に取り組むことで、海外からの集客を増やしていくことができます。

多言語でのカスタマーサポート

海外の顧客は、言語や時差、文化の違いから不安を感じやすいものです。信頼を構築するためには、丁寧で迅速な多言語対応のカスタマーサポートが不可欠です。

  • 対応言語:

    ターゲット国の公用語での対応はもちろん、英語での対応も基本となります。自動翻訳ツールを活用しつつ、重要な問い合わせには専門の翻訳者やネイティブスピーカーによる確認を行うことを検討しましょう。

  • 問い合わせ方法:

    メール、チャット(サイト内チャット、SNSのDMなど)、電話など、複数の問い合わせ方法を用意し、顧客が使いやすいものを選べるようにします。

  • FAQ(よくある質問):

    配送、決済、返品・交換、関税など、海外顧客から寄せられやすい質問をFAQページにまとめ、多言語で公開しておくことで、顧客の自己解決を促し、問い合わせ件数を減らすことができます。

  • 返品・交換ポリシー:

    海外からの返品・交換は、国内よりも手続きが複雑になるため、明確なポリシーを策定し、サイト上でわかりやすく提示しておくことがトラブル防止につながります。

時差を考慮した対応時間の設定や、現地の祝日なども把握しておくことで、より質の高い顧客体験を提供できます。

越境EC初心者が失敗しないための3つの重要ポイント

越境ECは国内向けのECサイトよりも難易度が高いと言えるでしょう。ではどのようなポイントに気を付ければ失敗しないのでしょうか。重要な3つのポイントをお伝えします。

関税や現地の法律を必ず確認する

越境ECで商品を販売する上で、販売先の国の関税制度や輸入規制、そして現地の法律を事前に確認することは最も重要なステップです。これらを怠ると、予期せぬコスト発生や商品の差し止め、さらには法的な問題に発展するリスクがあります。

具体的には、以下の点に注意が必要です。

  • 関税・消費税(付加価値税): 商品の種類や価格によって税率が異なります。購入者負担となるのか、販売者負担(DDP: Delivered Duty Paid)とするのかを明確にし、サイト上で表示する必要があります。
  • 輸入規制: 食品、化粧品、医薬品、電気製品など、国によっては特定の商品の輸入が厳しく制限されていたり、特別な許可が必要だったりする場合があります。販売を検討している商品が規制対象でないか、事前に各国の規制当局や税関の情報を確認しましょう。
  • 現地の法律: 消費者保護法、プライバシー保護法(例:EUのGDPR)、製品安全基準、表示義務(成分表示、原産国表示など)など、国ごとに様々な法律が存在します。これらの法律に準拠した商品提供と情報開示が求められます。

これらの情報は、各国税関のウェブサイトや、日本貿易振興機構(JETRO)のような公的機関の情報を参考にすることをおすすめします。不明な点があれば、国際貿易に詳しい専門家やコンサルタントに相談することも検討しましょう。

為替変動リスクを理解しておく

越境ECでは、日本円と販売先の国の通貨との間で為替レートの変動によるリスクが常に存在します。これは、商品の仕入れから販売、そして売上金の回収に至るまで、利益に直接影響を与える可能性があるため、事前に理解しておく必要があります。

例えば、海外のお客様から米ドルで商品が購入された場合、そのドルを日本円に換金するタイミングで円高が進んでいれば、当初想定していたよりも日本円での受取額が減ってしまいます。逆に円安が進めば、より多くの日本円を受け取ることができます。

このリスクを軽減するためには、以下の点を考慮しましょう。

  • 価格設定: 為替変動を見越して、ある程度のマージンを上乗せした価格設定を検討する。
  • 決済タイミング: 為替レートが良いタイミングで売上金を日本円に換金できるよう、レートを注視する。
  • 為替ヘッジ: 大規模な取引を行う場合は、銀行が提供する為替予約などの金融商品を利用することも可能ですが、初心者にはハードルが高い場合もあります。

為替レートは常に変動するため、定期的に主要通貨の動向をチェックし、事業計画にその影響を織り込むことが重要です。

初期費用と運転資金の計画を立てる

越境ECを成功させるためには、事業開始に必要な初期費用と、売上が安定するまでの運転資金を綿密に計画することが不可欠です。資金計画が甘いと、途中で資金が尽きて事業継続が困難になる可能性があります。

主に発生する費用は以下の通りです。

費用項目内容
ECサイト構築・出店費用Shopifyなどのプラットフォーム利用料、テンプレート購入費用、カスタマイズ費用、海外ECモールへの出店料・月額利用料など。
商品仕入れ費用販売する商品の仕入れにかかる費用。在庫を抱える場合は、そのための資金も必要。
国際送料・関税商品を海外へ発送するための送料、および輸出入にかかる関税・消費税(必要に応じて)。
決済手数料クレジットカード決済やPayPalなどの決済サービスを利用する際の手数料。通貨換算手数料も含まれる場合がある。
広告・マーケティング費用海外向けWeb広告(Google広告、SNS広告など)、SEO対策、インフルエンサーマーケティングなど、集客にかかる費用。
翻訳・ローカライズ費用商品情報、サイトコンテンツ、カスタマーサポート対応などの多言語化にかかる費用。
人件費スタッフを雇用する場合の人件費。
予備費予期せぬトラブルや緊急時に備えるための費用。最低でも3〜6ヶ月分の運転資金を確保することが望ましい。

これらの費用を具体的に算出し、事業計画書に落とし込むことで、資金ショートのリスクを最小限に抑え、安定した事業運営を目指しましょう。

越境ECの構築と運営に役立つおすすめサービス

越境ECの構築から運営まで、初心者の方でもスムーズに進められるよう、役立つサービスをカテゴリー別に紹介します。これらのサービスを上手に活用することで、初期の負担を軽減し、効率的な運営が可能になります。

おすすめのECプラットフォーム

越境ECを始める上で、商品の展示から決済までを担うECプラットフォームの選定は非常に重要です。多言語対応や通貨対応、海外配送連携など、越境ECに必要な機能を備えたプラットフォームを選びましょう。

プラットフォーム名主な特徴越境EC向け度イニシャル・ランニングコスト
Shopify(ショッピファイ)

世界中で利用される多機能なECプラットフォーム。豊富なアプリでカスタマイズ性が高く、多言語・多通貨対応、海外配送連携も充実しています。初心者から大規模まで対応可能です。

非常に高い月額利用料金
Magento(マジェント)

高度なカスタマイズ性と拡張性が特徴のオープンソースECプラットフォーム。大規模な越境ECサイト構築に適していますが、専門知識が必要です。

非常に高い構築費用高、無料版あり
Wix EC(ウィックスEC)

直感的な操作で簡単にECサイトを構築できるサービス。多言語対応や海外決済機能も備えており、初心者でも手軽に越境ECを始められます。

中程度月額利用料金
BASE(ベイス) / STORES(ストアーズ)

国内向けのECプラットフォームですが、海外販売AppやPayPal連携などで越境ECに対応可能です。手軽に始めたい初心者向けで、まずは国内ECで実績を積みたい場合にも選択肢となります。

低~中程度無料プランあり

おすすめの決済代行サービス

海外の顧客が安心して支払いができるよう、多様な決済方法に対応したサービスを導入することが不可欠です。主要なクレジットカードはもちろん、現地の主要な決済手段にも対応できると、顧客の利便性が向上し、購入率アップにつながります。

サービス名主な特徴対応決済方法手数料(目安)
PayPal(ペイパル)

世界中で広く利用されているオンライン決済サービス。購入者・販売者保護制度があり、信頼性が高いです。越境ECでは必須と言える決済手段の一つで、アカウントがあれば簡単に利用できます。

クレジットカード、PayPal残高4%前後~
Stripe(ストライプ)

開発者向けの柔軟なAPIが特徴で、多様な通貨と決済方法に対応。クレジットカード決済を中心に、Apple Pay、Google Pay、一部の現地決済手段などにも対応しています。

クレジットカード、Apple Pay、Google Payなど3.5%前後~
GMOペイメントゲートウェイ

日本の企業が提供する決済代行サービス。海外カード決済やAlipay(アリペイ)、WeChat Pay(ウィーチャットペイ)など、アジア圏の主要な決済手段にも幅広く対応しているのが強みです。

クレジットカード、コンビニ決済、Alipay、WeChat Payなど要問い合わせ

おすすめの発送代行サービス

国際配送は、関税や書類作成、最適な運送会社の選定など煩雑な手続きが伴います。発送代行サービスを利用することで、これらの手間を削減し、効率的な配送を実現できます。また、複数の運送会社の中から最適な選択肢を提示してくれるサービスもあります。

サービス名 / 運送会社主な特徴メリット注意点
Ship&co(シップアンドコー)

ECサイトと連携し、送り状やインボイスを自動作成できるサービス。複数の運送会社(DHL、FedEx、UPS、EMSなど)の料金比較・連携が可能です。作業の自動化により大幅な時間短縮が期待できます。

作業効率化、送料比較、複数運送会社対応月額費用が発生、初期設定が必要
FedEx(フェデックス) / DHL(ディーエイチエル)

世界的な大手国際宅配便サービス。迅速かつ信頼性の高い配送が特徴で、充実した追跡システムを提供しています。法人契約を結ぶことで割引運賃が適用される場合もあります。

速達性、追跡精度、補償制度が充実送料が高め、個人での契約は割高になることも
国際郵便EMS(日本郵便)

日本郵便が提供する国際スピード郵便。比較的安価で、世界120以上の国・地域に送れます。追跡サービスも利用可能で、手軽に利用できるのが魅力です。

コストパフォーマンス、手軽さ、全国の郵便局で利用可能大型荷物や高額品には制限、追跡情報の更新頻度が国際宅配便に劣る場合あり

まとめ

越境ECは、国内市場の縮小や新たな販路開拓を考える事業者にとって、大きな可能性を秘めた挑戦です。初心者の方にとっては、言語や文化、商習慣の違い、関税や配送といった課題がハードルに感じられるかもしれません。

しかし、本記事で解説した5つのステップと3つの重要ポイントを理解し、適切なツールやサービスを活用すれば、これらの課題は十分に克服可能です。事前の入念な準備と、ターゲット国のニーズを深く理解することが成功への鍵となります。ぜひ、このガイドを参考に、越境ECへの第一歩を踏み出し、世界を舞台にしたビジネス展開を実現してください。

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