今回は「KPI」シリーズの第一弾として「KPIの基本的な概念」について解説していきます。
KPIをうまく活用することで、最小限の業務で最大の結果が得られるようになります。
KPIは業種を問わず導入したい概念のため、組織のパフォーマンスを効率的に高めていきたい経営層からチームリーダーまで多くの方に役立つ内容となっています。
ここでは、
- KPIとは
- KPIの例
- KPIを設定するメリット
- KPIと間違いやすい「KGI」とは
- KPIとKGIの考え方
という流れで解説していきます。
KPIとは
KPI(Key Performance Indicator)は「重要経営指標」や「重要業績指標」と訳されます。これは企業全体の目標達成に必要な業績評価の指標を指します。
全体の目標を達成するには、集中すべき指標を見極めなければなりません。KPIを定期的にチェックすることで、目標達成の進捗状況や行動を修正する必要性などがわかります。
行動を修正する必要性に気づくのが遅れると、業績の低下に繋がってしまいます。
KPIの例
それでは、KPIの具体例をみていきましょう。
例①:資料請求数の確保が目標の場合
企業への資料請求数を確保し、売上に繋げることが目標の場合は、「検索エンジン経由のアクセス数」がよくKPIに設定されます。
目標の資料請求数を達成するには、サイトへのアクセスを増やす必要があります。
ここで注意したいのは、サイト全体のPV数ではなく、検索エンジン経由のアクセスにのみ注目すべきことです。
検索エンジンで上位表示されると、悩みやニーズに沿ったKWで検索した人の目にとまります。会社が提供している商品やサービスが悩みやニーズに沿ったものでなければ資料請求はされないため、検索エンジン経由のアクセスだけに注目する必要があるのです。
検索エンジン経由のアクセスが減少していると、目標達成率は低くなるため、定期的にチェックして必要に応じて対策を立てましょう。
例②:店舗売上目標に対するKPIの設定
店舗売上目標を達成するには、来店者の数を増やす必要があります。
そのため、ウインドウショッピングをしている人の購買意欲をいかに高めるかが目標達成のカギとなるでしょう。ただし、それ以前に来店者が少なければ目標達成は困難です。
そのため、「来店者」をKPIに設定して、必要な対策を立てる必要があります。
KPIを設定するメリット
KPIは、目標達成を目指すうえで必須な指標です。具体的に、KPIを設定することで得られるメリットを詳しくみていきましょう。
メリット①:目標達成に必要なことが見えてくる
KPIを設定すると、目標達成に必要なことが明確化されます。進捗が悪い場合は、KPIの数値を上げるための対策を立てることで、状況の改善が期待できます。KPIを設定しないと、何を見直せばいいのかがわからず、いつまで経っても状況は改善しないでしょう。
メリット②:メンバー間で意識統一を図りやすい
「これを高めれば目標を達成できる」という指標があれば、メンバー間で意識統一を図りやすいでしょう。「なぜ、目標達成のためにその作業が必要なのか」をメンバー全員が把握していれば、スピーディーに対策を打ち立てられます。
また、メンバーそれぞれが目標達成を意識して、KPIの改善に向けて行動できるようになるでしょう。
メリット③:最小の努力で最大の成果を挙げられる
必要性が低い業務にリソースを大きく割いてしまうことを防げます。KPIに注力し、他の業務に割くリソースを抑えることで、最小の努力で最大の成果を挙げられるでしょう。注力すべき業務に集中できることで、短期間で目的を達成できるようになります。
メリット④:無駄な業務を削減できる
注力すべき業務が明確化され、無駄な業務を削減できることで業務効率化に繋がります。業務効率が上がれば、1日の労働時間を短縮できるため、働き方改革にも対応できるでしょう。また、不要な残業代も削減できて、キャッシュフローが改善する可能性もあります。
さらに、1日の労働時間を抑えることで、従業員のモチベーションとパフォーマンスの向上が期待できます。パフォーマンスの向上は、業績アップに直結するため、KPIの設定は企業の収益性を高めることに繋がるのです。
メリット⑤:個人を正当に評価できる
個人目標にKPIを設定することで、個人の正当な評価が可能になります。KPIを設定しない場合、個人がどれだけ目標達成に貢献したかがわからず、感覚的な評価になりがちです。実際よりも評価が低くなったり高くなったりすれば、社員と会社のどちらかが損害を受けます。
KPIを設定すれば、個人を正当に評価できるようになるため、従業員のモチベーションアップやキャッシュフローの適正化に繋がるでしょう。
KPIと間違いやすい「KGI」とは
KGI(Key Goal Indicator)は、日本語で「重要目標達成指標」といいます。KPIとKGIは用語が似ていることで混同されがちなため、違いを確認しておきましょう。
KPIは、「プロセス」のパフォーマンスが評価基準であるのに対し、KGIは売上達成率や課題解決の進捗などの「結果」のパフォーマンスが評価基準です。
つまり、KPIはKGIを達成するために必要な対策を立てる際に用いられ、KGIは経営レベルの目標管理に用いられます。いずれも目標達成には欠かせない指標です。
KGIとKPIの例
それでは、KGIとKPIの例を考えてみます。
例えば、KGIで月間売上目標を1億円に設定し、KPIとして必要な問い合わせ数を2,000件、実際に商談に進む件数が500件、契約件数を100件、平均受注単価100万円というように設定します。
KGI:月間売上1億円
↑(平均受注単価100万円)
契約件数100件
↑
商談件数500件
↑(25%)
KPI:問い合わせ件数2,000件
これで、社員は問い合わせ件数2,000件を達成するために行動できるようになるでしょう。また、問い合わせのうち25%以上を商談へと進めるように営業をかける必要があることも明確になっています。「目標は1億円だから頑張ってほしい」と伝えるだけでは、社員は今ひとつモチベーションが高まりません。
さらに、とるべき行動も明確化されておらず、いつまでに何をどれくらいまで達成していれば最終的な目標に到達できるのかが把握できないため、想定どおりのパフォーマンスは発揮できないでしょう。
KGIとKPIはセットと考えて、必ず設定することが大切です。
KPIの設定方法
それでは、KPIはどのように設定すればいいのでしょうか。KPIの設定方法を誤ると、目標達成に繋がりにくい項目に注力することになり、無駄な業務が増えてしまいます。いつまで経っても目標を達成できず、社員の努力不足を疑ってしまう場合もあるでしょう。
そのため、KPIは適切に設定することが大切です。
まとめ:目標達成のカギはKPI活用
今回はKPI周りの基本的な概念について解説してきました。
KPIは目標を達成するために注力すべき業務プロセスを項目として設定しましょう。
また、KPIとKGIはセットで設定することが大切です。KPIを正しく設定できれば、社員の意識統一につながるため、モチベーションやパフォーマンスが高まります。そのほか、業務効率化や無駄な作業の削減などにも繋がるでしょう。KPIを正しく設定して、毎日、毎月、毎年の目標達成を目指してください。
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記事執筆:加藤 良大
記事設計・編集:中條 優