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ワーケーションで生産性アップ!メリット・デメリットと導入方法を解説

投稿日:2025年7月30日 /

更新日:2025年7月30日

ワーケーションで生産性アップ!メリット・デメリットと導入方法を解説

「ワーケーションに興味があるけど、何から始めればいい?」「会社で導入する際の注意点は?」そんな疑問をお持ちではありませんか。本記事では、ワーケーションの基本から、個人・企業それぞれのメリット・デメリット、具体的な始め方や導入方法、おすすめの場所まで網羅的に解説します。適切に計画・実行すれば、ワーケーションは生産性向上とワークライフバランス実現の鍵となります。この記事を読めば、成功の秘訣と実践方法の全てがわかります。

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目次

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そもそもワーケーションとは?テレワークとの違いを解説

近年、働き方の多様化とともに「ワーケーション」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし、その正確な意味や、似たような言葉である「テレワーク」との違いを正しく理解している方はまだ少ないかもしれません。

この章では、ワーケーションの基本的な定義から、なぜ今これほど注目を集めているのか、その背景までを分かりやすく解説します。

ワーケーションの定義

ワーケーションとは、「仕事(Work)」と「休暇(Vacation)」を組み合わせた造語です。普段の職場や自宅とは異なる、国内外の観光地やリゾート地などに滞在し、休暇を楽しみながら仕事も行う新しい働き方のスタイルを指します。

単に旅先で仕事をするだけでなく、その土地ならではの環境や文化に触れることで心身をリフレッシュさせたり、新たなインスピレーションを得たりすることが大きな目的です。観光庁では、ワーケーションを「普段の職場とは異なる場所で働きながら(Work)、自分の時間も過ごす(Vacation)こと」と定義しており、働き方改革の推進や地方創生の観点からも推奨されています。

テレワークやリモートワークとの違い

ワーケーションは、会社以外の場所で働くという点では「テレワーク」や「リモートワーク」と共通していますが、その目的やニュアンスには明確な違いがあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

用語定義主な目的働く場所の例
ワーケーション仕事(Work)と休暇(Vacation)を両立させる働き方。リフレッシュ、生産性向上、ワークライフバランスの実現、地域貢献など。観光地、リゾート地、温泉地、地方の宿泊施設など。
テレワークICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所にとらわれずに働くこと。在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務の総称。業務効率化、通勤時間の削減、育児・介護との両立、事業継続計画(BCP)対策など。自宅、サテライトオフィス、カフェ、移動中の交通機関など。
リモートワーク従業員がオフィスから離れた(Remote)場所で働くこと。テレワークとほぼ同義で使われることが多い。テレワークとほぼ同じ。より「場所」に焦点が当たった表現。自宅、コワーキングスペース、海外など。

上記の表からも分かる通り、ワーケーション最大の特徴は「休暇(Vacation)」の要素が明確に含まれている点です。テレワークやリモートワークが「働く場所の柔軟性」に主眼を置いているのに対し、ワーケーションは仕事と休暇を融合させることで、相乗効果を生み出すことを目指す、より積極的な働き方の選択肢と言えるでしょう。

ワーケーションが注目される背景

ワーケーションがこれほどまでに注目を集めるようになった背景には、いくつかの社会的な要因が絡み合っています。

働き方改革の推進と価値観の多様化

政府が主導する「働き方改革」により、長時間労働の是正や有給休暇の取得促進、そして多様で柔軟な働き方の実現が社会全体のテーマとなりました。こうした流れの中で、従業員のウェルビーイング(心身の健康や幸福)を重視する考え方が広まり、仕事とプライベートを両立させるための選択肢としてワーケーションが脚光を浴びるようになりました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響

新型コロナウイルスのパンデミックは、私たちの働き方に大きな変革をもたらしました。感染拡大防止のためにテレワークが急速に普及し、多くの人が「オフィスに行かなくても仕事はできる」という事実を体験しました。この経験が、働く場所をより自由に選ぶという発想につながり、ワーケーションへの心理的なハードルを大きく下げたと言えます。

通信技術の進化とインフラ整備

高速なインターネット回線やWi-Fi環境が全国的に整備され、クラウドサービスやWeb会議システムといったツールが一般化したことも、ワーケーションの普及を後押ししています。これにより、場所に依存しない円滑なコミュニケーションと業務遂行が可能になりました。

地方創生への新たな一手としての期待

人口減少や高齢化に悩む地方自治体にとって、ワーケーションは関係人口の創出や地域経済の活性化につながる新たな一手として大きな期待が寄せられています。滞在者が地域の施設を利用したり、消費活動を行ったりすることで、観光業の閑散期の対策や新たなビジネスチャンスの創出にもつながる可能性があります。そのため、多くの自治体がワーケーションの誘致に積極的に取り組んでいます。

ワーケーションがもたらすメリット

ワーケーションは、単に「旅先で仕事をする」というスタイルに留まりません。従業員個人と導入する企業の双方にとって、計り知れないほどの好影響をもたらす可能性を秘めています。ここでは、ワーケーションがもたらす具体的なメリットを「個人編」と「企業編」に分けて、詳しく解説していきます。

【個人編】ワーケーションで得られるメリット

まずは、従業員個人がワーケーションを通じて享受できるメリットを見ていきましょう。働き方の自由度が高まることで、仕事のパフォーマンスだけでなく、人生そのものの質を向上させる効果が期待できます。

リフレッシュ効果による生産性向上

最大のメリットは、心身のリフレッシュがもたらす生産性の向上です。いつもと違う環境に身を置くことで、日常業務のマンネリ感やストレスから解放されます。例えば、海の見えるカフェで波音を聞きながら企画書を作成したり、森林浴をしながらアイデアを練ったりすることで、脳が活性化され、普段は思いつかないような創造的な発想が生まれやすくなります。仕事の合間に観光やアクティビティを取り入れることで、オンとオフのメリハリがつき、結果として業務への集中力が高まるのです。

ワークライフバランスの実現

ワーケーションは、理想的なワークライフバランスを実現するための強力なツールです。仕事(Work)と私生活(Life)を切り分けるのではなく、柔軟に融合させることができます。例えば、家族旅行と仕事を組み合わせることで、長期休暇を取得しにくい状況でも、家族と過ごす時間を十分に確保できます。また、趣味であるサーフィンや登山の拠点に長期滞在しながら仕事をするなど、自分のライフスタイルを大切にしながらキャリアを継続することが可能になります。プライベートの充実が仕事へのモチベーションを高め、好循環を生み出します。

新たなスキルや人脈形成の機会

ワーケーションは、自己成長の機会にも繋がります。滞在先のコワーキングスペースを利用すれば、地元企業家や他のワーケーション実践者など、異業種の多様なバックグラウンドを持つ人々との交流が生まれます。こうした出会いは、新たなビジネスチャンスやキャリアのヒントに繋がるだけでなく、自身の視野を広げる貴重な経験となります。また、地域の文化や課題に直接触れることで、これまでにない視点を獲得し、新たなスキルセットの習得や自己発見に繋がることも少なくありません。

【企業編】ワーケーション導入のメリット

ワーケーションは、従業員だけでなく企業側にも大きなメリットをもたらします。多様な働き方を認める先進的な取り組みは、企業の持続的な成長を支える重要な経営戦略となり得ます。

企業がワーケーション導入で得られる主なメリット
メリットの分類具体的な効果
組織・人材従業員満足度の向上、エンゲージメント強化、離職率の低下
採用・ブランディング採用競争力の強化、優秀な人材の獲得、企業イメージの向上
事業開発新たなアイデアやイノベーションの創出、セレンディピティの誘発

従業員満足度の向上と離職率低下

ワーケーション制度の導入は、福利厚生の充実を意味し、従業員のエンゲージメントと満足度を大きく向上させます。「会社は社員の多様な働き方やライフスタイルを尊重してくれている」という意識が醸成され、組織への帰属意識が高まります。心身ともに健康な状態で働ける環境は、精神的な疲弊やバーンアウト(燃え尽き症候群)を防ぐ効果も期待でき、結果として優秀な人材の定着、つまり離職率の低下に直結します。これは、採用や再教育にかかるコストの削減にも繋がり、経営の安定化に貢献します。

優秀な人材の確保と採用競争力の強化

現代の求職者、特に高い専門性を持つ人材は、報酬だけでなく「働き方の自由度」を重視する傾向にあります。ワーケーション制度は、企業の魅力を高め、採用活動における強力なアピールポイントとなります。居住地を問わずに採用活動を行えるため、これまでアプローチできなかった地方在住の優秀な人材や、海外の人材を獲得できる可能性も広がります。柔軟で先進的な企業文化を発信することは、企業のブランディングにも繋がり、採用市場での競争力を格段に高めるでしょう。

新たなイノベーションの創出

従業員が普段のオフィスとは異なる環境で、異なる文化や価値観に触れることは、新たな発想の源泉となります。旅先での体験や、そこで出会った人々との対話から、既存事業の改善点や、全く新しい商品・サービスのアイデアが生まれる「セレンディピティ(偶発的な発見)」が期待できます。また、異なる部署の社員がワーケーション先で偶然出会い、部門の垣根を越えたコミュニケーションから画期的なコラボレーションが生まれることもあります。こうした環境は、企業の持続的成長に不可欠なイノベーションの土壌を育むのです。

知っておきたいワーケーションのデメリットと注意点

ワーケーションは多くのメリットがある一方で、計画なく進めると「ただ疲れただけ」「仕事が捗らなかった」といった失敗に繋がりかねません。光の当たる部分だけでなく、潜在的なデメリットや注意点を事前に理解し、適切な対策を講じることが成功の鍵となります。ここでは、個人と企業それぞれの視点から、ワーケーションの課題と具体的な対策を詳しく解説します。

【個人編】ワーケーションの課題と対策

まずは、従業員個人がワーケーションを行う際に直面しがちな課題と、それを乗り越えるための対策を見ていきましょう。

仕事と休暇の線引きが難しい

ワーケーションで最も多くの人が直面するのが、仕事とプライベートの境界線が曖昧になるという課題です。普段と違う解放的な環境にいると、つい観光や遊びに気持ちが向いてしまい仕事に集中できなかったり、逆に「いつでも仕事ができる」という状況から、夜遅くまでだらだらと働き続けてしまったりするケースが少なくありません。

対策は、タイムマネジメントを徹底し、意識的にオン・オフを切り替える仕組みを作ることです。例えば、「午前中は集中して仕事、午後はアクティビティ」のように1日のスケジュールをブロックで区切ったり、ポモドーロテクニック(25分集中+5分休憩)を活用したりするのが有効です。また、ホテルの部屋の中でも仕事専用のデスク周りを整え、リラックスするベッド周りとは物理的に距離を置くといった工夫も、気持ちの切り替えに役立ちます。

通信環境やセキュリティ面の不安

滞在先のインターネット環境は、仕事の生産性を直接左右する重要な要素です。施設の公式情報では「Wi-Fi完備」とあっても、実際に使ってみると速度が遅かったり、時間帯によって不安定になったりすることも珍しくありません。また、カフェや公共スペースのフリーWi-Fiは便利ですが、通信が暗号化されていない場合も多く、第三者によるデータの盗聴や覗き見といったセキュリティリスクが伴います。

対策として、滞在先を決める前に、宿泊施設の口コミサイトなどで通信環境に関する実際の利用者の声を確認しておくことが重要です。万が一に備え、ご自身のスマートフォンでのテザリングや、ポケット型Wi-Fiをレンタルしていくと安心です。セキュリティ対策としては、会社のVPN(仮想プライベートネットワーク)を利用して通信を暗号化する、パソコンの画面に覗き見防止フィルターを貼る、公共の場では機密情報や個人情報を扱う作業を避ける、といった自己防衛策を徹底しましょう。

通常業務より費用がかかる場合がある

ワーケーションには、普段の在宅勤務では発生しない交通費や宿泊費、現地での食費などがかかります。会社の福利厚生として補助制度が設けられていれば負担は軽減されますが、制度がなかったり、上限額が低かったりする場合には、自己負担額が大きくなる可能性があります。特に、人気観光地のハイシーズンなどは、想定以上の出費になることも考えられます。

まずは、勤務先のワーケーションに関する規定(費用補助の有無、上限額、対象経費など)を必ず確認しましょう。その上で、LCC(格安航空会社)や新幹線の早割を利用したり、長期滞在割引プランがある宿泊施設を選んだりすることで、費用を抑えることが可能です。また、自治体によってはワーケーション推進のための補助金や助成金制度を用意している場合があるため、滞在先の自治体公式サイトなどをチェックしてみるのも一つの方法です。

【企業編】ワーケーション導入時の課題と対策

次に、企業がワーケーション制度を導入・運用する上で直面する課題と、その対策について解説します。従業員の自由な働き方を支えるためには、企業側の環境整備が不可欠です。

勤怠管理や労務管理の複雑化

従業員がオフィスから離れた場所で、かつ休暇を組み合わせながら働くワーケーションでは、労働時間の正確な把握が難しくなります。どこからどこまでが労働時間で、どこからが私的な時間なのかの切り分けが曖昧になりがちです。また、移動時間や中抜け時間の扱い、万が一の事故や病気の際の労災認定など、従来の労務管理の枠組みでは対応しきれないケースが出てきます。

対策としては、クラウド型の勤怠管理ツールを導入し、従業員がいつでもどこでも始業・終業時刻を打刻できる体制を整えることが基本です。その上で、ワーケーション専用の就業規則やガイドラインを策定し、「労働時間は自己申告制とするが、管理者は実態を適宜確認する」「中抜けは事前申請を必須とする」など、具体的なルールを明確に定めておく必要があります。従業員任せにせず、会社として明確な勤怠・労務管理のルールを示すことが、トラブル防止に繋がります。

情報漏洩などのセキュリティリスク

従業員が社外に業務用PCやスマートフォンを持ち出して作業を行うワーケーションは、情報漏洩のリスクと常に隣り合わせです。デバイスの紛失・盗難、公共Wi-Fiの利用によるウイルス感染や不正アクセス、公共の場での画面の覗き見など、オフィス内では起こりにくい多様なリスクが想定されます。

これらのリスクに対応するためには、技術的な対策と従業員への教育を両輪で進めることが不可欠です。具体的な対策としては、以下のようなものが挙げられます。

リスクの種類具体的な対策例
デバイスの紛失・盗難ハードディスクの暗号化、遠隔でデータを消去できるMDM(モバイルデバイス管理)ツールの導入、画面ロックの徹底
不正アクセス・ウイルス感染社内システムへのアクセス時のVPN接続の義務化、セキュリティソフトの導入と最新状態への更新、多要素認証(MFA)の設定
データの盗聴・覗き見公共Wi-Fi利用時の重要情報の送受信禁止、PC用覗き見防止フィルターの使用推奨、公共の場でのWeb会議における発言内容への注意喚起

これらの対策を盛り込んだセキュリティポリシーを策定し、全従業員に周知徹底することが、企業としての重要な責務となります。

社内コミュニケーションの課題

ワーケーション利用者が増えると、オフィス勤務者との間でコミュニケーションの量や質に差が生まれ、情報格差や疎外感に繋がる可能性があります。特に、廊下での立ち話やランチタイムの雑談といった、偶発的に生まれるインフォーマルなコミュニケーションが減少し、チームの一体感が損なわれるリスクが懸念されます。

この課題への対策として、意識的にコミュニケーションの機会を創出し、場所にとらわれない情報共有の仕組みを構築することが求められます。例えば、チームでの定例オンラインミーティングに加えて、雑談を目的とした「バーチャルコーヒーブレイク」の時間を設けたり、ビジネスチャットツールに業務連絡用とは別に雑談用のチャンネルを作成したりするのも効果的です。また、ワーケーション中の従業員に現地の体験や学びを社内で共有してもらう場を設けることで、他の従業員の興味を喚起し、組織全体の活性化に繋げることもできます。

企業がワーケーションを導入する方法とポイント

ワーケーションは、従業員の満足度向上や生産性向上に繋がる魅力的な制度ですが、その導入には慎重な計画と準備が不可欠です。単なる福利厚生の一環としてではなく、企業の成長戦略として位置づけ、明確なルールのもとで運用することが成功の鍵となります。ここでは、企業がワーケーションを導入するための具体的な4つのステップと、それぞれのポイントを詳しく解説します。

ステップ1|導入目的を明確にする

ワーケーション制度を成功させるための第一歩は、「なぜ自社でワーケーションを導入するのか」という目的を明確にすることです。目的が曖昧なまま制度を導入すると、ルールの策定が困難になったり、導入後の効果測定ができなかったりする可能性があります。企業の課題や目指す姿と照らし合わせ、ワーケーション導入の目的を具体的に設定しましょう。

【導入目的の例】

  • 従業員満足度(ES)の向上:柔軟な働き方を認めることで、従業員のエンゲージメントを高め、離職率を低下させる。
  • 生産性の向上:リフレッシュ機会の提供により、従業員の創造性や集中力を引き出し、業務効率を上げる。
  • 人材獲得と競争力強化:魅力的な働き方を提示することで、優秀な人材の採用に繋げ、企業のブランドイメージを向上させる。
  • イノベーションの創出:普段と異なる環境での業務や新たな出会いを促し、新しいアイデアやビジネスチャンスを生み出す。
  • 事業継続計画(BCP)への貢献:勤務場所を分散させることで、災害時などでも事業を継続できる体制を構築する。

設定した目的によって、対象者や利用可能な日数、費用負担のあり方など、後の制度設計が大きく変わってきます。まずは経営層と人事部門が中心となり、全社的な目的を定義することが重要です。

ステップ2|対象者と利用ルールを策定する

導入目的が固まったら、次はその目的に沿って具体的な利用ルールを策定します。誰が、いつ、どこで、どのように利用できるのかを詳細に定め、就業規則や個別のワーケーション規程として明文化することが、後のトラブルを未然に防ぎます。

対象者の範囲

ワーケーション制度をどの範囲の従業員に適用するかを決定します。全従業員を対象とするのか、あるいは特定の条件を設けるのかを検討しましょう。

  • 職種や部署:テレワークが可能な職種や部署に限定するか、全社的に展開するか。
  • 雇用形態:正社員のみか、契約社員やパートタイマーも対象に含めるか。
  • 勤続年数:入社後一定期間(例:1年以上)が経過した従業員を対象とするか。
  • その他:試用期間中の従業員の扱いや、人事評価の結果などを条件に加えるか。

ワーケーションの場所と期間

ワーケーションを実施できる場所や期間に関するルールを定めます。セキュリティや労務管理の観点から、一定の制限を設けることが一般的です。

  • 場所の制限:国内に限定するのか、海外も許可するのか。情報セキュリティを確保できる環境(例:セキュリティが担保されたWi-Fi環境がある場所)に限定するなどの条件を設定します。
  • 利用日数:1回あたりの上限日数(例:連続5営業日まで)や、年間の利用上限日数(例:年間合計20日まで)を設定します。
  • 利用タイミング:繁忙期を避ける、長期休暇と組み合わせての利用を推奨するなど、業務への影響を考慮したルールを設けます。

申請・承認プロセス

誰が、いつまでに、どのような手続きで申請し、誰が承認するのか、一連のフローを明確に定めます。申請書には、期間、場所、緊急連絡先、業務計画などを記載させるようにすると、管理がしやすくなります。

例:利用希望日の2週間前までに、所定の申請書を直属の上長に提出し、承認を得る。

就業規則への明記

策定したルールは、必ず就業規則や、新設する「ワーケーション勤務規程」などに明記してください。口頭での説明や曖昧な合意のまま運用すると、労働時間や費用負担、万が一の事故の際の責任の所在などをめぐって労使トラブルに発展するリスクがあります。弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談しながら、法的に問題のない規程を作成することが賢明です。

ステップ3|勤怠管理と労働環境を整備する

従業員がオフィスから離れた場所で働くワーケーションでは、適切な勤怠管理と、安全で効率的に働ける環境の整備が不可欠です。特に、労働時間とセキュリティに関する取り決めは重要です。

労働時間の管理方法

ワーケーション中の労働時間をどのように管理するかを定めます。通常の勤務と同様に始業・終業時刻を管理する方法が基本ですが、働き方の実態に合わせて適切な制度を選択する必要があります。

  • 通常の労働時間制:始業・終業時刻を定め、勤怠管理システムやチャットツールで打刻・報告させる方法。最も管理しやすい。
  • 事業場外みなし労働時間制:労働時間の算定が難しい場合に、所定労働時間働いたものとみなす制度。ただし、上長の具体的な指揮監督が及んでいる場合や、通信機器によって常時連絡が取れる状態の場合は適用が難しいケースもあります。
  • 裁量労働制:専門業務型や企画業務型が対象。実労働時間ではなく、労使で定めた時間を働いたものとみなす制度。

また、業務の途中で私的な活動を行う「中抜け」を認めるか、認める場合はその間の時間を労働時間に含めないことや、事前の申請・事後の報告を義務付けることなど、明確なルールを設定しておくことが重要です。

コミュニケーションツールの導入

離れた場所にいても業務が円滑に進むよう、コミュニケーション環境を整備します。ビジネスチャットツール(Slack, Microsoft Teamsなど)、Web会議システム(Zoom, Google Meetなど)、プロジェクト管理ツール(Asana, Trelloなど)を全社で統一して導入し、活用ルールを定めておくと効果的です。

セキュリティ対策の徹底

情報漏洩は企業の信頼を著しく損なうリスクです。ワーケーション中のセキュリティ対策を徹底させる必要があります。

  • デバイスの管理:会社が貸与したPCやスマートフォンのみ利用を許可する。
  • ネットワーク環境:VPN(仮想プライベートネットワーク)接続を義務付ける。公共のフリーWi-Fiの利用に関する注意喚起や禁止ルールを設ける。
  • 情報管理:機密情報や個人情報を含む書類の持ち出しを原則禁止する。PCの画面ロックや離席時の盗難対策を徹底させる。

労働災害(労災)の適用範囲

ワーケーション中の事故や病気が労働災害として認定されるかどうかの基準を、従業員に周知しておく必要があります。労災は、業務が原因で発生した「業務災害」と、通勤中に発生した「通勤災害」に分けられますが、ワーケーション中の移動は基本的に通勤にはあたりません。業務災害として認定されるのは、「業務遂行性(業務中であったか)」と「業務起因性(業務に起因する事故か)」の両方が認められる場合です。例えば、宿泊先のデスクでPC作業中に転倒して負傷した場合は労災と認められる可能性がありますが、観光中や食事中など私的な時間での事故は対象外となります。この線引きを規程で明確にし、従業員の理解を促すことが大切です。

ステップ4|費用負担に関する規定を設ける

ワーケーションにかかる費用について、どこまでを会社が負担し、どこからを従業員の自己負担とするのか、明確な規定を設けることはトラブル防止のために極めて重要です。費用負担の範囲は、ワーケーションを業務命令として実施するのか、従業員の希望による福利厚生として実施するのかによっても変わります。

一般的に考えられる費用項目と負担区分の例を以下に示します。

費用項目一般的な負担区分備考
往復の交通費従業員負担福利厚生として導入する場合が多い。業務命令の場合は会社負担。
宿泊費従業員負担会社が一部補助金(例:1泊あたり5,000円など)を支給するケースもある。
通信費(Wi-Fi利用料など)会社負担業務遂行に必須のため、会社が負担することが望ましい。定額の手当を支給する方法もある。
コワーキングスペース利用料会社負担業務を行う場所として会社が推奨・許可した場合に負担することが多い。
業務に必要な備品購入費会社負担モバイルモニターやキーボードなど、会社が業務に必要と認めたもの。
食費・観光費従業員負担通常の勤務と同様、私的な費用は自己負担が原則。

これらの費用負担ルールを定めると同時に、経費精算の申請方法や領収書の要件など、具体的な運用プロセスも整備しておく必要があります。補助金や手当を支給する場合は、その上限額や支給条件を明確に規定に盛り込みましょう。

【個人向け】失敗しないワーケーションの始め方

ワーケーションに興味はあるものの、「何から準備すれば良いかわからない」「仕事と休暇を両立できるか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。ここでは、個人がワーケーションを成功させるための具体的なステップと、知っておくべきポイントを詳しく解説します。事前の計画と準備が、ワーケーションの満足度を大きく左右します。しっかりとポイントを押さえて、充実したワーケーションを実現しましょう。

ワーケーションの計画の立て方

思いつきで出発するのも旅の醍醐味ですが、仕事が伴うワーケーションでは計画性が重要です。以下の4つのステップに沿って、計画を立てていきましょう。

ステップ1:目的と期間を明確にする

まずは「なぜワーケーションをするのか」という目的を明確にしましょう。目的によって、適した場所や滞在スタイルが大きく変わります。

  • 集中作業型:普段の環境から離れ、静かな場所で特定のプロジェクトや執筆活動に集中したい。
  • リフレッシュ重視型:美しい自然や温泉で心身を癒し、リラックスしながら仕事もこなしたい。
  • 自己投資・交流型:新しいスキルを学んだり、地域のイベントやコワーキングスペースで新たな人脈を築きたい。

目的が決まったら、次に期間を設定します。週末に1日プラスする2泊3日の短期間から、1週間、1ヶ月以上の長期間まで、自身の業務スケジュールや会社の制度に合わせて検討しましょう。初めての場合は、まずは週末を利用した2泊3日程度の短い期間から試してみるのがおすすめです。

ステップ2:場所と宿泊施設を選ぶ

目的と期間が決まったら、具体的な行き先と滞在場所を選びます。宿泊施設を選ぶ際は、通常の旅行とは異なり「仕事のしやすさ」という視点が不可欠です。

以下のチェックリストを参考に、快適なワーク環境が整っているかを確認しましょう。

  • インターネット環境:安定した高速Wi-Fiが無料で利用できるか。有線LAN接続は可能か。
  • デスク・チェア:長時間作業しても疲れにくい、適切な高さのデスクと椅子があるか。
  • 電源:デスク周りに十分な数のコンセントがあるか。
  • Web会議環境:静かで背景が気にならない場所があるか。個室やワークブースが利用できると尚良い。
  • その他:プリンターやモニターの貸し出し、コーヒーメーカーの有無なども確認しておくと便利です。

ステップ3:大まかなスケジュールを立てる

ワーケーションの醍醐味は、仕事とプライベートを柔軟に組み合わせられる点にあります。しかし、無計画ではどちらも中途半端になりがちです。生産性を維持しつつ休暇も満喫するために、1日の大まかなスケジュールを立てておきましょう。

【スケジュール例:リフレッシュ重視型の場合】

  • 午前中(9:00〜12:00):集中タイム。メール返信や資料作成など、頭を使う作業を行う。
  • 昼(12:00〜14:00):地元の美味しいランチを楽しみ、周辺を少し散策。
  • 午後(14:00〜17:00):Web会議や比較的軽いタスクをこなす。
  • 夕方以降:仕事を完全にオフ。温泉に入ったり、観光を楽しんだり、読書をしたりと自由に過ごす。

重要なのは、仕事時間と休息時間を明確に区切ることです。「この時間までは仕事をする」「この時間からはPCを閉じる」というルールを自分の中で決めておくと、オンとオフの切り替えがスムーズになります。

ステップ4:会社のルールを確認し、申請する

会社員の場合、ワーケーションを実施する前に、必ず会社の就業規則や関連規定を確認しましょう。企業によっては、ワーケーションに関する独自の制度やルールが設けられています。特に以下の点については、上司や人事・労務担当者に事前に確認し、必要な手続きを行いましょう。

  • ワーケーション制度の有無と申請方法
  • 勤怠管理の方法(始業・終業時刻の報告方法など)
  • 交通費や宿泊費などの経費精算の範囲
  • 労災保険の適用範囲
  • 緊急時の連絡体制

また、業務に支障が出ないよう、ワーケーション期間中の業務内容や連絡方法について、事前にチームメンバーと共有しておく’mark>ことも、円滑なコミュニケーションのために非常に重要です。

これだけは揃えたい必須の持ち物リスト

ワーケーションでは、通常の旅行の持ち物に加えて、快適に仕事をするためのアイテムが必須です。忘れ物がないように、以下のリストを参考に準備を進めましょう。

カテゴリ持ち物ポイント
仕事道具(必須)ノートPC、スマートフォン、各種充電器、モバイルバッテリーこれらがないと仕事になりません。特に充電器類は忘れやすいので注意。
仕事道具(推奨)ポケットWi-Fi、ノイズキャンセリング機能付きイヤホン(マイク付き)、PCスタンド、マウス、延長コード、覗き見防止フィルターWeb会議が多い方は、マイク付きのイヤホンが必須です。PCスタンドは目線を上げ、首や肩の負担を軽減します。
生活用品着替え、洗面用具、常備薬、健康保険証、運転免許証滞在日数に合わせて準備。急な体調不良に備え、保険証と常備薬は必ず携帯しましょう。
あると便利なものタンブラー・水筒、リラックスグッズ(アイマスク、アロマオイルなど)、エコバッグ、サンダル、簡単な運動着環境に配慮し、お気に入りの飲み物で仕事の合間に一息つけます。気分転換のための散歩や運動の準備もしておくと◎。

ワーケーションにかかる費用の目安

ワーケーションにかかる費用は、場所、期間、滞在スタイルによって大きく変動します。ここでは、一般的なモデルケースとして費用の目安と内訳を紹介します。会社の補助がない場合の自己負担額を想定しています。

費用項目内容費用を抑えるポイント
交通費自宅からワーケーション先までの往復交通費。LCCや高速バスの利用、各種交通機関の早割プランを活用する。
宿泊費ホテル、旅館、コンドミニアムなどの滞在費。長期滞在割引のある施設や、キッチン付きで自炊可能な施設を選ぶと費用を抑えられます。
食費滞在中の食事代。外食だけでなく、スーパーで食材を購入して自炊を取り入れる。
仕事環境費コワーキングスペースの利用料やカフェでの飲食代など。宿泊施設に快適なワークスペースがあれば、この費用はかかりません。
観光・アクティビティ費観光施設の入場料や体験プログラムの参加費など。無料の公園を散策したり、地域のイベント情報をチェックしたりする。

【期間別・費用目安(1人あたり)】

  • 近場の温泉地(2泊3日):約30,000円~80,000円
  • 国内リゾート地(1週間):約80,000円~200,000円
  • 地方都市で長期滞在(1ヶ月):約150,000円~350,000円

これらの金額はあくまで一例です。オフシーズンを狙ったり、自治体が提供する補助金やキャンペーンを活用したりすることで、費用をさらに抑えることも可能です。事前に情報収集を行い、賢く計画を立てましょう。

ワーケーションにおすすめの場所と施設の選び方

ワーケーションの満足度は、滞在する場所や施設の選び方で大きく変わります。自分の仕事のスタイルやリフレッシュの目的に合わせて、最適な環境を選ぶことが成功のカギとなります。ここでは、国内の人気エリアから目的別の施設の選び方まで、具体的な選択肢を詳しくご紹介します。

国内の人気ワーケーションエリア

日本国内には、ワーケーションに最適な魅力あふれるエリアが数多く存在します。ここでは、特に人気の高いエリアを3つのタイプに分けて解説します。それぞれの特徴を理解し、あなたの理想のワーケーションに合った場所を見つけましょう。

自然豊かなリゾート地|北海道・沖縄

日常の喧騒から離れ、雄大な自然の中でリフレッシュしながら仕事に取り組みたい方には、北海道や沖縄のようなリゾート地が最適です。非日常的な環境が、新たなアイデアやインスピレーションをもたらしてくれるでしょう。

北海道
夏の涼しい気候は、避暑を兼ねたワーケーションにぴったりです。富良野のラベンダー畑や、ニセコの壮大な山々を眺めながら仕事に集中できます。冬にはスキーやスノーボードといったウィンタースポーツも楽しめ、仕事とアクティビティの両立が可能です。新鮮な海の幸や農産物など、食の魅力も滞在を豊かにしてくれます。

沖縄
エメラルドグリーンの海と温暖な気候が魅力の沖縄は、心身ともにリラックスしたい方におすすめです。恩納村などのリゾートホテルでは、オーシャンビューの客室で快適に仕事ができます。仕事の合間には、シュノーケリングやダイビングで美しい海を満喫したり、琉球文化に触れたりするのも良いでしょう。石垣島や宮古島など、離島でのワーケーションも人気です。

都心から好アクセスな温泉地|箱根・熱海

「長期間の休みは取れないけれど、気軽にワーケーションを試してみたい」という方には、首都圏からアクセスしやすい温泉地がおすすめです。週末や数日間の滞在でも、温泉で疲れを癒しながら効率的に仕事を進めることができます。

箱根
都心から電車で約90分というアクセスの良さに加え、豊かな自然と静かな環境が魅力です。多くの旅館やホテルがワーケーションプランを提供しており、温泉と仕事の両方を満喫できます。彫刻の森美術館などアートに触れられるスポットも多く、感性を刺激したいクリエイティブ職の方にも人気です。

熱海
海と温泉を同時に楽しめるリゾート地として、近年再注目されています。新幹線を利用すれば東京から1時間以内で到着可能。おしゃれなカフェやコワーキングスペースも増えており、仕事環境の選択肢が豊富です。仕事終わりには、新鮮な魚介類に舌鼓を打つのも熱海ならではの楽しみ方です。

長期滞在にも適した地域|長野・和歌山

腰を据えてじっくりと仕事に取り組みたい方や、地域の暮らしを体験してみたい方には、自治体がワーケーションを積極的に推進しているエリアがおすすめです。生活コストを抑えながら、充実したサポートを受けられる可能性があります。

長野
軽井沢や白馬、蓼科高原など、日本を代表する避暑地を数多く擁する長野県。夏は涼しく、冬はウィンタポーツが楽しめるなど、四季を通じて魅力的な環境です。県や市町村が移住・定住促進に力を入れており、お試し滞在施設やコワーキングスペースが充実しています。落ち着いた環境で、集中してプロジェクトに取り組みたい方に最適です。

和歌山
「ワーケーションの聖地」とも呼ばれる白浜町を中心に、県全体でワーケーションを推進しています。美しいビーチ、歴史ある温泉、アドベンチャーワールドなど、観光資源も豊富です。企業向けのサテライトオフィスや研修施設が整備されているほか、個人向けのプランも充実しており、多様なニーズに対応しています。

目的やスタイルに合わせた施設の選び方

ワーケーションの滞在先は、場所だけでなく施設の種類も重要です。ここでは、代表的な施設タイプごとの特徴と選び方のポイントを解説します。それぞれのメリット・デメリットを比較し、ご自身の目的に合った施設を選びましょう。

施設タイプ別 特徴比較表
施設タイプ主なメリット選ぶ際のポイントこんな人におすすめ
ホテル・旅館快適な客室、充実したサービス(食事・清掃・温泉など)、高いセキュリティWi-Fi環境(速度・安定性)、デスク・椅子の有無、ワーケーションプランの提供仕事と休暇のメリハリをつけ、快適な環境でリフレッシュしたい人
コワーキングスペース併設施設仕事に特化した設備(高速Wi-Fi、モニター等)、他の利用者との交流宿泊施設との距離、ドロップイン利用の可否、会議室の有無、営業時間集中できる仕事環境を最優先し、新たな人脈を築きたい人
自治体が提供するお試し施設利用料金が安価または無料、地域住民との交流、移住体験が可能利用条件(居住地・期間等)、設備の充実度、申し込み方法と時期コストを抑えたい人、地方移住を検討している人

ホテル・旅館

プライベート空間が確保され、清掃や食事などのサービスが充実しているため、仕事に集中しながらも休暇気分を存分に味わえるのがホテル・旅館の魅力です。特に、温泉や大浴場付きの施設を選べば、仕事の疲れを効果的に癒すことができます。
選ぶ際は、客室内のWi-Fi速度や安定性、そして仕事に適したデスクと椅子の有無を必ず確認しましょう。近年は「ワーケーションプラン」として、レイトチェックアウトや会議室利用などの特典が付いたプランを用意している施設も増えています。

コワーキングスペース併設施設

仕事の生産性を最優先するなら、コワーキングスペースが併設された宿泊施設や、近隣にコワーキングスペースがある施設が最適です。高速インターネット回線はもちろん、プリンターや外部モニター、フリードリンクなど、オフィス同様の環境が整っています。
また、他のワーカーとの交流が生まれることも大きなメリットです。異業種の利用者とのコミュニケーションから、新たなビジネスのヒントや人脈が生まれる可能性もあります。利用料金や営業時間、個室ブースの有無などを事前に確認しておきましょう。

自治体が提供するお試し施設

コストを抑えて長期滞在したい方や、将来的な移住を視野に入れている方には、自治体が運営するお試しワーケーション施設がおすすめです。廃校をリノベーションした施設や、空き家を活用した施設など、ユニークな場所で地域に根差した滞在ができます。
最大のメリットは、無料または非常に安価な料金で利用できる点です。ただし、利用には居住地などの条件が定められていたり、申し込み期間が限られていたりする場合が多いため、各自治体の公式ウェブサイトで詳細をしっかり確認する必要があります。

ワーケーションで仕事の生産性を高める3つのコツ

ワーケーションは、ただ場所を変えて仕事をするだけでは、かえって生産性が落ちてしまう可能性があります。非日常の環境で最高のパフォーマンスを発揮し、休暇も満喫するためには、いくつかのコツが必要です。ここでは、ワーケーションの成果を最大化するための3つの具体的な方法を解説します。これらを実践することで、仕事の効率を高め、充実したワーケーションを実現できるでしょう。

一日のスケジュールを明確に立てる

開放的な環境はリフレッシュ効果が高い一方で、誘惑も多く、気づけば仕事が全く進んでいなかったということにもなりかねません。ワーケーションを成功させる鍵は、徹底した自己管理と計画性にあります。普段のオフィスワーク以上に、一日のスケジュールを具体的に立てることが重要です。

まずは、その日にやるべきタスクをすべて洗い出し、優先順位をつけましょう。そして、「何時から何時まで集中して作業するのか」「いつ休憩し、観光やアクティビティを楽しむのか」を時間単位で区切る「タイムブロッキング」という手法が非常に有効です。時間を区切ることで、仕事への集中力が高まるだけでなく、「この時間までに終わらせれば、あとは自由時間だ」というモチベーションにも繋がります。

【スケジュール例】タイムブロッキングを活用した一日の過ごし方

時間帯内容ポイント
7:00-9:00起床・朝の散歩・朝食朝の新鮮な空気を吸って心身を目覚めさせ、仕事モードへの準備をします。
9:00-12:00集中ワークタイム最も頭が冴えている午前中に、思考力が必要な重要タスクを片付けます。
12:00-14:00ランチ・周辺の散策地元の美味しいものを食べたり、観光スポットを軽く訪れたりしてリフレッシュします。
14:00-16:00軽めのワークタイムメール返信や資料確認など、比較的負荷の軽いタスクを中心に行います。
16:00以降完全オフタイム温泉、アクティビティ、読書など、休暇としての時間を心ゆくまで満喫します。

このように、あらかじめ計画を立てておくことで、仕事とプライベートの時間を両立しやすくなり、ワーケーションの満足度を飛躍的に高めることができます。

仕事に集中できる環境を確保する

ワーケーションの生産性は、仕事をする「環境」に大きく左右されます。旅先の魅力的な景色や快適なベッドは、時に集中力を妨げる要因にもなります。そのため、仕事モードに入るための「場」を意図的に作り出すことが極めて重要です。

宿泊施設を選ぶ際は、景観や価格だけでなく、「快適なデスクと椅子があるか」「安定した高速Wi-Fiが利用できるか」を必ず確認しましょう。最近では、ワーケーションプランを提供しているホテルや旅館も増えており、客室に高性能なワークチェアやモニターを完備している施設もあります。また、ホテルの客室では集中しづらいという方は、近隣のコワーキングスペースを利用するのも一つの手です。コワーキングスペースは、仕事に必要な設備が整っているだけでなく、他の利用者から刺激を受けられるというメリットもあります。

物理的な環境に加えて、デジタルガジェットの活用も有効です。周囲の音を遮断できる「ノイズキャンセリング機能付きイヤホン」や、覗き見を防止する「プライバシーフィルター」などは、場所を選ばず集中できる環境を作り出すのに役立ちます。安心して作業に没頭できる環境を自ら構築することが、生産性向上の第一歩です。

オンとオフの切り替えを意識的に行う

ワーケーションで最も陥りやすいのが、仕事と休暇の境界線が曖昧になり、常に仕事のことが頭から離れず、結局どちらも中途半端になってしまうという状態です。「なんとなく」働き続ける状態を防ぎ、心身ともにリフレッシュするためには、意識的な切り替えが不可欠です。

そのための有効な方法が、「切り替えの儀式(ルーティン)」を作ることです。例えば、「仕事を開始する前に必ずコーヒーを淹れる」「仕事の時間はビジネスウェアに着替える」「終了時間になったらPCを閉じて仕事用のカバンにしまう」といった自分なりのルールを決め、それを実行します。このような小さな行動が、脳に「これから仕事モードだ」「これで仕事は終わりだ」というスイッチを入れるきっかけとなります。

オン・オフを切り替えるアクションリスト

切り替えのタイミング具体的なアクション例
仕事開始時(オンへ)
  • 仕事専用の服装に着替える
  • デスク周りを整頓し、PCを起動する
  • 今日のタスクリストを確認する
仕事終了時(オフへ)
  • PCをシャットダウンし、カバンにしまう
  • 仕事道具を片付ける
  • 軽い運動や散歩に出かける
  • 場所を変える(例:ラウンジやカフェに移動する)

また、「仕事はデスクの上だけ」「部屋から一歩出たら完全にオフ」というように、場所によってオンとオフを切り分けるのも効果的です。意識的にメリハリをつけることで、働くときは集中し、休むときは思いっきり楽しむという、理想的なワーケーションを実現できます。

まとめ

ワーケーションは、生産性向上やワークライフバランスの実現など、個人と企業の双方に多くのメリットをもたらす魅力的な働き方です。成功させるには、勤怠管理やセキュリティといったデメリットを理解し、事前の計画とルール作りを徹底することが不可欠です。

本記事で解説したポイントを参考に、あなたも新しい働き方であるワーケーションに挑戦し、仕事とプライベートの双方を充実させましょう。

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