SaaSビジネスでは、いかに解約を少なくして継続して利用し続けてもらえるかがポイントとなります。そのため、顧客を成功まで導くために伴走する「カスタマーサクセス」の存在が重要です。
本記事では、SaaS企業にとってのカスタマーサクセスの必要性や、カスタマーサクセスの始め方について解説します。
SaaSに必要なカスタマーサクセスとは?
近年、飛躍的に成長しているSaaSビジネス。ユーザーにとっての手軽さと利便性から、多くのサービスがSaaSとして提供されています。
そんなSaaSビジネスにとって、なくてはならない存在が「カスタマーサクセス」です。
カスタマーサクセスとは、直訳すると「顧客の成功」というように、商品・サービス導入後の顧客を継続してサポートして成功体験へと導く役割を担います。
よく混同されやすいのが「カスタマーサービス」や「カスタマーサポート」です。これらは顧客からの問い合わせ内容をもとに対応することが一般的です。
しかしカスタマーサクセスは、顧客の利用状況や課題などを分析し、必要なサポートを能動的に働きかけます。
SaaSにカスタマーサクセスが欠かせない理由とは?
SaaSビジネスを展開する企業には、必ずといってよいほどカスタマーサクセスの部門が設けられています。
SaaSビジネスではカスタマーサクセスが必要不可欠と言われますが、その理由としては以下の要因があります。
サブスクリプションサービスが浸透した
SaaSサービスは、多くがサブスクリプション型で提供されています。
サブスクリプションとは、一定期間に設定された金額を支払えば、その期間内はサービスを利用できる仕組みです。代表的なサブスクリプションサービスだと、AmazonプライムやNetflix、Spotifyなどが挙げられます。
このようなサブスクリプションサービスは、いかに解約率を下げて、継続して利用し続けてもらえるかで収益が大きく変わります。
そのため、カスタマーサクセスが能動的に顧客に働きかけて利用してもらうことで「このサービスはなくてはならない」という認識をもってもらい、契約を継続してもらえる仕組み作りが求められているのです。
競合との競争が激しくなった
市場にモノやサービスがあふれている上に、新規参入のハードルも下がり、市場競争は激化しています。価格競争に陥りやすくなり、本当に価値のある製品・サービスも埋もれてしまうようになりました。
このような背景から、競合よりも優位に立つための工夫が必要になっています。
カスタマーサクセスが顧客を成功へと導くことができれば、そのサービスの市場価値が上がります。よって、競合との競争にも勝ちやすくなるでしょう。
情報を得る手段が増えた
インターネットやSNSで調べるとさまざまな情報が手に入る時代になり、商品・サービスの使い方や口コミは顧客自身で調べられるようになりました。
今までは営業担当者から情報を入手していた顧客たちも、スマートフォンやインターネットが広がったことで、営業担当者に聞かずに自分自身で必要な情報にアクセスできます。
そのため、サービスを利用する際にも自身で情報を調べ、購入するか・継続するかといった判断をするようになっています。
このような背景から、企業はインターネットでは拾えない有益な情報を提供する必要性が高まっています。
カスタマーサクセスは顧客が成功するために、ノウハウや体験談などの情報を惜しみなく提供します。その結果、顧客にとって価値の高いサービスになるのです。
SaaS企業がカスタマーサクセスを始めるには?
SaaS企業が自社のビジネスにカスタマーサクセスを取り入れるためには、以下の手順を意識しましょう。
カスタマーサクセスについて理解する
カスタマーサクセスは、注目され始めてからまだ日が浅い職種です。そのため理解が進んでいないことも多く、人によっては初めて聞いたという場合もあるでしょう。
したがって、まずはカスタマーサクセスとはどのような役割なのかを社内全体で理解する必要があります。
さらに
- 自社の顧客にとっての成功体験は何か
- 顧客が成功するために、自社は何をすべきか
といった内容も考え、自社サービスにおけるカスタマーサクセスの目的を明確にしましょう。
チームの役割を明確にする
カスタマーサクセス部門がどのような業務を担うのか明確にしましょう。他部門との役割分担があいまいになると、認識のすれ違いでトラブルが起きる可能性があります。
特に注意したいのが、営業部門との線引きや連携です。カスタマーサクセスは営業部門から顧客を引き継ぐため、営業部門との線引きは明確にしておかなければなりません。どのような状態になったら引き継ぐのか、情報共有の方法はどうするのか、といった内容を決めておきましょう。
注力するポイントを限定する
カスタマーサクセスを始めるにあたり、すべての顧客やアプローチ方法をカバーしたくなるかもしれません。しかし範囲が広すぎると、業務が回りきらなくなります。
たとえば、カスタマーサクセスの目的として「解約を防ぐ」「アップセルを受注する」「顧客満足度を向上させる」などがありますが、すべてを実現させようとすると多くのリソースが必要となり、なかなか成果を出せません。
よって、注力すべきポイントを限定してリソースを投入し、早い段階で成果につなげてノウハウを蓄積するとよいでしょう。
SaaS企業に欠かせないカスタマーサクセスツールの選び方は?
SaaSビジネスでカスタマーサクセスに取り組みたい場合、ツールの活用が必須です。なぜなら、扱うデータ量が多いため人手による管理が難しい上に、顧客の状況を把握するためにデータを分析する必要があるからです。
カスタマーサクセスに活用できるツールは多岐にわたりますが、その中で自社に適したツールを見極めることで、カスタマーサクセス業務が効率化します。自社に合ったツールの選び方を紹介します。
導入する目的を明確にする
ツールの導入目的を明確にすることで、目的にマッチしたツールを選定できます。
たとえば「顧客へのアプローチ履歴を管理したい」という目的であれば、顧客情報に紐づいて対応履歴を管理できるCRMやSFAなどが適しています。また「顧客の不満・疑問をすぐに解決してあげたい」という目的なら、顧客が手軽に問い合わせできるチャットツールなどがよいでしょう。
このように、目的によって導入すべきツールも異なるので、まずは導入目的の明確化が必要です。
導入コストを予算と照らし合わせる
カスタマーサクセスツールによってコストが異なります。
毎月の利用料金のほか、初期費用やオプション費用などもかかる場合があります。また、利用するアカウント数によって課金していくツールもあるでしょう。
そのため、まずはどのくらいのコストがかかるか試算した上で、予算との兼ね合いを見極めることがポイントです。
実際に使ってみる
カスタマーサクセスツールの中には、フリーミアムやフリートライアルを導入しているものも珍しくありません。
無料プランや無料トライアルなどを活用し、使用感や機能性を確かめましょう。
実際に利用する現場担当者にも利用してもらい、感想をヒアリングすることも効果的です。
カスタマーサクセスツールおすすめ3選
カスタマーサクセス業務を促進させる、おすすめのツールを3製品紹介します。
Flipdesk | WEB接客ツール
「Flipdesk」は、サイトに訪問したユーザー一人ひとりにパーソナライズした情報を提供できる、WEB接客ツールです。
料金プラン
プラン名 | スタンダードプラン |
---|---|
初期費用 | 50,000円 |
基本料金 | 50,000円 |
従量料金 | なし |
Helpfeel | FAQ
FAQシステム「Helpfeel」は、ユーザーが検索した言葉に関連する回答を提示してくれます。ユーザー自らで回答を探せるため、問い合わせ件数の減少が期待できます。
料金プラン
プラン名 | 基本プラン |
---|---|
初期費用 | 要問い合わせ |
基本料金 | 要問い合わせ |
従量料金 | 要問い合わせ |
coorum | コミュニティ構築
「coorum」は、コミュニティ運営を通じてユーザーと信頼関係を構築できるコミュニティ管理ツールです。
料金プラン
料金プラン | 詳細 |
---|---|
初期費用 | 要問い合わせ |
基本料金 | 要問い合わせ |
内容 | 顧客プロファイルの管理、顧客のモニタリング、 |
まとめ
解約率を減らしてLTVを向上させる必要があるSaaSビジネスでは、カスタマーサクセスの役割が欠かせません。競合と差別化して顧客のニーズを満たすため、ぜひカスタマーサクセスを取り入れてみてください。
カスタマーサクセスを始める際には、本記事で紹介したように目的や役割分担を明確にして、注力するポイントを見極めましょう。
また、カスタマーサクセスで成果につなげるためには、ツールの活用も重要になります。当メディア「kyozon」では、カスタマーサクセスに活用できるさまざまなツールを掲載しています。資料ダウンロードも可能なので、ぜひご活用ください。
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